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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻12号

1991年11月発行

文献概要

特集 アレルギーと自己免疫 I.免疫機能―最近の進歩 7.免疫病変の発生機序

3)炎症のメディエーター

著者: 平島光臣1

所属機関: 1熊本大学医学部第一病理字講座

ページ範囲:P.71 - P.74

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はじめに
 炎症は生体防御機構の中で最も重要な機構の1つであり,炎症反応はまず血管透過性の充進による血清蛋白質の血管外浸出,ついで白血球に代表される炎症細胞の血管外への遊出(すなわち病変局所への動員)がみられる.その後,肉芽形成を経て治癒に至る一連の生体反応としてとらえられる.通常好中球の浸潤に始まり,次いでマクロファージやリンパ球,炎症によっては好酸球や好塩基球の浸潤がみられるという反応の経過によって異なる炎症細胞の浸潤をみる.それぞれの白血球は炎症局所へ動員されたあと,局所で炎症反応の進展にきわめて重要な機能を発揮すると予想される.
 この白血球の動員機構を惹起する因子である遊走因子は,炎症局所における選択的な炎症細胞浸潤に直接に関与するメディエーターとして炎症反応の進展に重要であると考えられる.補体由来の因子や免疫グロブリン由来因子などの体液性因子のほかに,細胞由来の因子としては,組織肥満細胞が産生する因子群とリンパ球やマクロファージなどが産生するサイトカインが炎症のメディエーターとして近年詳細に検討されるようになった.体液性因子や組織肥満細胞由来因子については多くの総説を参照されることを希望し,今回はとくにサイトカインについて簡単に述べていきたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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