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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻12号

1991年11月発行

文献概要

特集 アレルギーと自己免疫 III.自己免疫疾患 2.自己免疫疾患の検査 3)HLA抗原

(2)HLAクラスII抗原

著者: 猪子英俊1

所属機関: 1東海大学医学部移植学第2

ページ範囲:P.169 - P.171

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はじめに
 ヒト主要組織適合複合体であるHLA抗原(humanleukocyte-associated antigen)は,細菌やウイルスなどの外来抗原をT細胞に抗原提示して活性化し,これらの外来抗原を駆逐するための一連の免疫応答を誘導する重要な抗原系である.すなわち,HLA抗原は自己と非自己を識別する遺伝的標識であり,外来抗原が侵入した際に自己であることを主張しているHLA抗原と照合することにより非自己を認識し,T細胞にその情報を伝達する役割を担っている.したがって,免疫系はHLA抗原の遺伝的標識を手がかりとして自身のHLA抗原を発現している身体を自己と認識し,自らの細胞や臓器に対しては決して免疫的攻撃を加えない,いわゆる免疫学的寛容(トレランス)が成立している.これに対して自己免疫疾患は,自己の抗原や細胞を非自己と誤認し,これに攻撃を加えるために生ずる免疫寛容維持の破綻による疾病であり,HLA抗原がその発症に寄与していることは想像に難くない.
 主としてクラスI抗原(HLA-A,-B,-C抗原)は,キラーT細胞の活性化に関与し,クラスII抗原(HLA-DR,-DQ,-DP抗原)はヘルパーT細胞の活性化に関与しているが,本稿では,特に自己免疫疾患の発症に深くかかわっているHLAクラスII抗原を取り上げ,その発症の分子機構と診断のためのDNAタイピングについて概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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