文献詳細
文献概要
特集 アレルギーと自己免疫 III.自己免疫疾患 2.自己免疫疾患の検査 5)自己抗体
(14)ループスアンチコアグラント(ループス抗凝固因子)
著者: 谷口修1 埜野千穂1 橋本博史1 廣瀬俊一1
所属機関: 1順天堂大学医学部膠原病内科
ページ範囲:P.214 - P.217
文献購入ページに移動1952年にConleyとHartmannは,SLE患者で全血凝固時間とプロトロンビン時間の延長を示すが特定の凝固因子欠乏のない,特殊なアンチコアグラント(anticoagulant)を持つ2症例を報告した1).このアンチコアグラントは,特定の凝固因子に対するインヒビター(inhibitor,抑制因子)とは異なる後天性の凝固抑制因子で,1972年にFeinsteinとRapaportにより"1upus anticoagulant"と名づけられた2).
ループスアンチコアグラント(LAC)はγグロブリン分画に存在し,IgGまたはIgMクラスに属する自己抗体で3~5),陰性荷電リン脂質と反応する抗リン脂質抗体であると考えられている6,7).1980年にThiagarajanらは,LACの活性を有するマクログロブリン血症患者のモノクローナル蛋白(IgM,λ)が,陰性荷電リン脂質であるホスファチジルセリン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジン酸とは反応するが,陰性荷電を持たないホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンとは反応しないことを示した6).さらに1982年にShapiroらは,LAC陽性の患者17人のγグロブリン分画が,カルジオリピン(cardiolipin:CL)をはじめとする陰性荷電リン脂質と反応することを二重免疫拡散法で確認した7).
掲載誌情報