icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻12号

1991年11月発行

文献概要

特集 アレルギーと自己免疫 III.自己免疫疾患 3.自己免疫疾患と検査

17)多発性硬化症

著者: 荒賀茂1 高橋和郎1

所属機関: 1鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科

ページ範囲:P.313 - P.315

文献購入ページに移動
はじめに
 神経線維は軸索と髄鞘からなり,この髄鞘の破壊されることを脱髄(demyelination)と呼ぶ.脱髄性疾患はこの髄鞘が巣状に侵される疾患で,軸索や神経細胞は比較的保たれる.脱髄性疾患の代表は多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)である.わが国での頻度は10万人に対して2~4人で,欧米に比べてその頻度は少ない.発症は20~40歳代に多いが,小児や高齢者での報告もある.多発性硬化症の病変は,中枢神経系のすべてに起こりうる.形成された脱髄巣は,時間の経過とともに修復され,また経過とともに再発する.したがって症状は多彩であり,寛解増悪をくり返す.
 髄鞘の構成蛋白であるmyelin basic protein(MBP)を動物に感作することにより,脱髄モデル(experimental allergic encephalomyelitis;EAE)を作製することが可能となった,脱髄モデルでは,T細胞のうちヘルパーT細胞(CD4)がエフェクターであることが確認されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?