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非機能性内分泌腫瘍
著者: 笹野公伸1 笹野伸昭1
所属機関: 1東北大学医学部第二病理学教室
ページ範囲:P.190 - P.191
文献購入ページに移動 定義:非機能性内分泌腫瘍とは,本来内分泌機能をもつ細胞の腫瘍でありながら,臨床的に機能亢進症状を欠き,血中ホルモン値の異常上昇を認めず,腫瘤(tumor)として発見されるものをいう.
発見と同定:発見のよりどころはもっぱら腫瘍としての性状だけである.したがって以前はその腫瘍による圧迫の所見が触診で見つかるか,手術や剖検のさい偶発的に発見される例に限られた.近年はCTスキャン,NMR,超音波などによる画像診断法の進歩により,かなり小さな腫瘍でもたまたま発見される機会が多くなった.その代表的な例として副腎ではIncidentaloma (偶発腫)という名称が生まれた.これは副腎の腫瘍であっても,本来内分泌機能をもたない血管腫や神経線維腫その他の非内分泌細胞由来の腫瘍も含まれている.それ故に臨床的に偶発腫として扱われているものの中から,真の非機能性内分泌腫瘍を同定するなめには,現在のところ摘出材料の組織学的検査に頼ることになる.病理組織像から内分泌細胞由来の腫瘍と決まれば,次の段階として組織レベル,細胞レベルでのホルモン含有,生成,放出についての検査を行うことにより,非機能性の本態解明にとりかかるにとが望ましい.すなわち,ホルモンそのものあるいはその生成にかかわる酵素の同定を,組織化学,組織中含有量とin vitroでの放出量の測定などによって行えば,この腫瘍の病態の本質に迫ることが可能となる.
発見と同定:発見のよりどころはもっぱら腫瘍としての性状だけである.したがって以前はその腫瘍による圧迫の所見が触診で見つかるか,手術や剖検のさい偶発的に発見される例に限られた.近年はCTスキャン,NMR,超音波などによる画像診断法の進歩により,かなり小さな腫瘍でもたまたま発見される機会が多くなった.その代表的な例として副腎ではIncidentaloma (偶発腫)という名称が生まれた.これは副腎の腫瘍であっても,本来内分泌機能をもたない血管腫や神経線維腫その他の非内分泌細胞由来の腫瘍も含まれている.それ故に臨床的に偶発腫として扱われているものの中から,真の非機能性内分泌腫瘍を同定するなめには,現在のところ摘出材料の組織学的検査に頼ることになる.病理組織像から内分泌細胞由来の腫瘍と決まれば,次の段階として組織レベル,細胞レベルでのホルモン含有,生成,放出についての検査を行うことにより,非機能性の本態解明にとりかかるにとが望ましい.すなわち,ホルモンそのものあるいはその生成にかかわる酵素の同定を,組織化学,組織中含有量とin vitroでの放出量の測定などによって行えば,この腫瘍の病態の本質に迫ることが可能となる.
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