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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻3号

1991年03月発行

文献概要

TOPICS

糖化アルブミン

著者: 島健二1

所属機関: 1徳島大学臨床検査医学

ページ範囲:P.285 - P.285

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 糖尿病コントロール状態を表現する指標として血糖,尿糖がよく用いられていたが,これに最近は糖化ヘモグロビン(HbA1c,HbA1)が加わった.これらの指標の臨床的意義は必ずしも同一ではない.最大の相違は各指標に表現されるコントロール期間の相違である.すなわち,血糖は採血したその瞬間の(コントロールが安定しているNIDDMではそうではないが,不安定型尿病ではそのように言える),尿糖は尿が膀胱にたまっている期間の,糖化ヘモグロビンは過去1,2か月間の血糖変動(コントロール状態)を表現している.
 生体内においてブドウ糖は蛋白質と非酵素的に結合し,糖化蛋白となる.血中ヘモグロビンが基質になった場合が糖化ヘモグロビンで,生体内のあらゆる蛋白質は同じように糖化される.この反応では非酵素的結合反応であるため生成物の量は基質の量に比例するが,一方の基質である蛋白質(糖化ヘモグロビンの場合はヘモグロビン)は濃度がほぼ一定であるため,生成物量はブドウ糖濃度,すなわち血糖値に左右されることになる.糖化ヘモグロビンの場合,ヘモグロビン分子が合成され分解されるまでの期間の血糖値の総和が規定因子ということになり,これが糖化ヘモグロビンが過去1,2か月間の血糖変動の総和を表現しているゆえんである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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