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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻5号

1991年05月発行

文献概要

編集者への手紙

臨床検査技師教育を考える

著者: 宮原道明1

所属機関: 1(社)福岡県臨床衛生検査技師会

ページ範囲:P.545 - P.545

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 臨床検査はもともと診療の一部として,医師みずからの手でなされていた.ところが,第二次大戦後アメリカ医学の導入によって昭和25年,当時の国立東京第一病院を皮切りに各地の病院に中央検査室が設置されてきた.医学・医療の進歩に伴い臨床検査も発展し,検査内容や検体数も急激に増加してきた.専門化し,細分化していく臨床検査は徐々に技師の手にゆだねられるようになり,それにつれて技師養成施設が全国各地に設立されてきた.法に基づく2年制の学校が開設されたのは,「衛生検査技師法」制定の翌昭和34年であった.さらに,同45年の法改正によって,現行の3年制以上の臨床検査技師養成施設へと移行した.
 以前実施した技師教育に関連したアンケート調査の成績では,実に多くの人々が教育年限の延長を希望していることが判明した.すなわち,福岡県内にある技師養成施設5校の学生684名のうち71%の学生は,「カリキュラムの緩和」を理由にしていた1).一方,東京,他5都府県の技師会員650名の回答ではなんと92%の会員が教育年限の延長を希望しており,その理由は「技師の地位向上につながる」であった2).世界的に技師の教育年限を比較すると,日本を除く世界の269校のうち238校(89%)は,WHOの分類によるレベルA (graduate)の4年制とのことである.一方,わが国の現状は89校のうち80校はレベルB(non-graduatecertified)であり,4年制のところはわずか9校にすぎない.日本の臨床検査の水準は先進諸国の中でもトップクラスと言われているが,こと教育制度に関しては遅れていると言わざるをえない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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