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鶏卵内Salmonella汚染と食中毒
著者: 本田武司1 太田建爾2
所属機関: 1大阪大学微生物病研究所 2都立衛生研究所
ページ範囲:P.764 - P.764
文献購入ページに移動この可能性を実験的に示すために行われたS. enteritidisのニワトリへの経口投与実験の成績3,4)によると,ニワトリはほとんど症状を引き起こさないにもかかわらず,かなり長期間(数週間以上)にわたり肝臓,脾臓,卵巣・卵管などから菌が回収されている.そして,このニワトリの産卵後の卵を調べると,卵殻内つまり卵白および卵黄から菌が検出された.この結果は自然感染したニワトリでS. enteritidisによる卵殻内汚染が起こる可能性を示している.これまでの卵のSalmonella汚染対策が卵殻内表面の汚染を意識したものであり,新たな対応が考えられなければならないであろう.また,この事実で特に問題なのは,いったんニワトリ卵巣がSalmonella感染を受けると長期間滞在するために,卵殻内汚染にとどまらず次のヒヨコへ垂直感染し,汚染ニワトリ・汚染鶏卵が急速に拡大してゆく危険が考えられることである.
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