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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻7号

1991年07月発行

文献概要

TOPICS

補体と感染症

著者: 木下タロウ1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所

ページ範囲:P.765 - P.765

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1.感染防御における補体の役割
 補体は生体防御機構の1要因として,感染防御に重要な働きをしている.補体は単独で働くだけでなく,抗体,貧食細胞と共同して感染防御を行う.感染防御における補体の主な働きは次の3つに分けることができる.第1はC3の断片を微生物表面に多数結合し,C3レセプターを持っ食細胞による微生物の結合と貧食を促進すること.第2は活性化によりできるC5aが走化性因子として働き,食細胞を微生物の存在する局所へ動員すること.しかもC5aは食細胞上のC3レセプターの発現量を増加させて貧食活性を高める働きもある.第3は膜傷害性複合体(C5b-9複合体)によって,微生物を直接破壊することである.
 第1の働きは補体のオプソニン作用として知られている.微生物表面で補体が活性化されると,C3の活性化断片であるC3bが表面に結合する.c3bはさらにiC3bに変換される.好中球やマクロファージはC3bとiC3bに結合する1型補体レセプター(CR1,CD35)とiC3bに結合する3型補体レセプター(CR3,CD11b/CD18)を発現しており,微生物にC3bやiC3bが結合していると効率よく貪食する.このオプソニン作用が,感染防御における補体のもっとも重要な働きである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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