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文献詳細

雑誌文献

臨床検査35巻8号

1991年08月発行

文献概要

今月の主題 真菌症 巻頭言

真菌症―最近の話題

著者: 山口英世1

所属機関: 1帝京大学医学部医真菌研究センター

ページ範囲:P.805 - P.805

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 最近注目される真菌症の話題といえば,何といっても日和見感染型の真菌症をめぐってのそれであろう.一部のクリプトコッカス症症例を除けば,カンジダ症,アスペルギルス症,ムーコル症を含めてわが国でみられる主要な深在性真菌症はすべて易感染性患者に続発する日和見感染症である.いずれの真菌症についても近年患者発生率の増加のみならず発症例の重症化がみられることが,奥平雅彦博士(北里大)らの剖検例検索の結果から明らかにされている.その背景には,患者の易感染化を促す基礎疾患―白血病その他の悪性腫瘍や血液疾患など―をもつ患者集団の増大化およびさまざまな医療処置―制癌療法,免疫抑制剤の使用―の繁用があることは疑いないところである.
 深在性真菌症の起因菌についてもかなりの変遷がみられる.カンジダ症は従来Candida albicansによるものが大半を占めていたが,近頃これに代わってC.tropicalis,C.Parapsilosis, C.glabrataなど別の菌種に起因する症例が著しく増えている.また,これも以前にはほとんど報告例のなかったTrichosporoncutaneumによる全身感染が目だつて多くなってきた.このように原因菌種が本来病原性の低いものまでに広がつている理由は,感染抵抗性が極度に低下した患者の増加にあると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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