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学会印象記 第38回 日本臨床病理学会総会
望ましい方向に向かう研究環境,他
著者: 屋形稔1
所属機関: 1東新潟病院
ページ範囲:P.60 - P.62
文献購入ページに移動本総会は第38回であるが,前身の懇談会時代から数えると40周年にあたり,記念に川崎医科大学名誉教授,柴田進氏が「この頃心にかかること」と題して講演された.お話は記念講演にふさわしく40年前の夢を語り21世紀への展望を試みられた.その夢の後での斯学のたどった迫害,圧迫の歴史と先人の苦労は若い方々の想像を絶するもので鬼気迫るものがあった.幸い草の根のごとき援助と技術進歩に伴い今や検査結果なしで診療はできなくなっている.今後は検査は病人のためというポリシーに従って生のままでない意味づけが求められる.招待講演としてJ Clin PatholのEditorであるDr. Lilleymanが「ヨーロッパにおける臨床病理学(臨床検査)の変わりつつある展望」を,経済的な視点もからめて述べられた.牧野総会長講演では,「臨床検査とエキスパート・システムへの期待」と題して,臨床検査は分析だけでなく,結果の意味づけを重視する必要があると,柴田氏と同じような論点で講演された.シンポジウム2の「白血球研究の最近の進歩」は,これまでIL-1で説明されてきたことが実はIL-8という新しく同定されたサイトカインのしわざであったことなど,もっともup to dateの内容で,基礎知識として持っていなければと思った.
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