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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻11号

1992年10月発行

文献概要

特集 遺伝と臨床検査 II DNA診断 1.DNA診断のための基本的操作

9)多型性DNAマーカーと連鎖分析

著者: 三木哲郎1 荻原俊男1

所属機関: 1大阪大学医学部老年病医学講座

ページ範囲:P.71 - P.74

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●多型性DNAマーカー(polymorphic DNA marker)
 集団の中で1%以上の頻度で多型が存在する遺伝子の座位は,多型性部位(polymorphic site)と定義されている.血液型のABO型,Rh型などの多型性遺伝子マーカーの遺伝子は,それぞれ9q34.1-q34.2,1p36.2-p34に座位し,個体識別や遺伝子地図作成時にその多型性が利用されている.これらの血液型などの多型は,蛋白質のアミノ酸変異による遺伝子マーカーであり,約30種にすぎなかった.このアミノ酸の変異は,遺伝子の変異に由来するものであるが,ハプロイドあたり約30億塩基対(bp)であるヒトのゲノムの塩基配列には,アミノ酸に翻訳される部分を含めて,平均数100bpに1個の多型性部位がある.したがって,多型性DNAマーカーは無数に存在することになる1).分子遺伝学の手法を用いて開発された多型性DNAマーカーは単離され続けており,医学・生物学の分野に大きな影響を与えている.
 多型性DNAマーカーは,大きく分類すると図1に示すように,第一世代としてRFLP,第二世代としてVNTR,第三世代としてマイクロサテライト遺伝子に分類される.ここでは,それぞれの多型性DNAマーカーの下に示したような家系で,父親と長女が常染色体性優性の遺伝病の患者で,遺伝子マーカーは原因遺伝子座位と組換えがなく,II-3の胎児の遺伝子診断を行うと仮定して説明する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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