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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻11号

1992年10月発行

文献概要

特集 遺伝と臨床検査 III 染色体異常の診断 2.末梢血の各種染色体分染法

7)脆弱X染色体の検出

著者: 笠井良造1 楢原幸二2

所属機関: 1旭川児童院 2岡山大学医学部小児科

ページ範囲:P.160 - P.164

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●はじめに
 染色体脆弱部位(chromosomal fragile site)とは,特定の条件下で染色体を培養したときに,染色体上に認められる切断(break)あるいはギャップ(gap)を言う.脆弱部位には,共優性メンデル遺伝様式をとる遺伝性脆弱部位(heritable or rare fragile site)と,共通脆弱部位(common fragile site)とがあり,Human GeneMapping 101)ではそれぞれ26および87の脆弱部位が記載されている.X染色体上にはXp 22.31,Xq22.1,Xq 27.2の3つの共通脆弱部位と1つの遺伝性脆弱部位[fra(X)(q 27.3)]が報告されているが,fra(X)(q27.3)のみが疾患と密接に関係している.
 1970年代後半にfra(X)(q 27.3)がX連鎖性家族性精神遅滞に認められることが発見されてから2,3),本疾患は脆弱X[fra(X)]症候群と呼ばれている.一般集団における本疾患の罹患率は,男性1/1,250,女性1/2,000と言われており,Down症候群に次いで精神遅滞の重要な原因である.fra(X)症候群の成人男性例では,精神遅滞,特徴的顔貌(長い顔,聳立した耳介,下顎の突出)および巨大睾丸を三大主要症状とするが,その他結合組織の異常(関節の過伸展,僧帽弁逸脱など)が高頻度に認められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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