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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻11号

1992年10月発行

文献概要

特集 遺伝と臨床検査 IV HLAタイピング

3.DNAを用いる方法

著者: 狩野恭一1

所属機関: 1オリンパス光学(株)バイオメディカルリサーチセンター

ページ範囲:P.211 - P.217

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 過去30年間に臓器・細胞移植は劇的な発展を遂げた.特に1980年代の新しい免疫抑制剤であるシクロスポリンAは従来の腎移植のみならず,一時中止状態にあった心・肝移植や骨髄移植の例数を飛躍的に増加させた.正に臨床移植のルネサンス期に入ったと言えよう.こうした臨床の成果を支える柱として主要組織適合検査,すなわちHLAの同定とマッチングの技術も著しい進歩を遂げた.特に分子生物学的アプローチは過半数のHLAクラスI遺伝子,大半のクラスII遺伝子の一次構造を決めるに至った.恐らく今後2~3年の間にすべてのHLA遺伝子の一次構造が決められるであろう.
 すでに前項「抗体を用いる方法」で詳しく述べられたように,分子生物学的アプローチは血清学的に同定が困難なHLAクラスII抗原の同定に威力を発揮してきた.現在,DNAを用いたHLAタイピングはクラスII抗原の特異性の確認と1つの特異性を,さらに細分するサブスペシフィシティの研究に用いられている.したがって本稿では,まずHLAクラスIIタイピングの古典的方法である.細胞性タイピングについて解説し,これとの対比においてDNAタイピングについて述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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