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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻11号

1992年10月発行

文献概要

話題

家族性アミロイドポリニューロパチー

著者: 島田和典1

所属機関: 1大阪大学微生物病研究所難治疾患バイオ分析部門遺伝子疾患研究分野

ページ範囲:P.221 - P.222

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 家族性アミロイドポリニューロパチー(familialamyloidotic polyneuropathy;FAP)は,常染色体性優性の遺伝形式を示す先天代謝異常である.1952年にポルトガル人の症例が初めて報告されて以来,世界各国から同様の症例報告がなされており,臨床病型から下肢型,上肢型,顔面型に大別される.日本人のFAPは下肢型に分類されているが,この型は最も症例数が多く,主要症状は左右対称性に下肢末端から上行する知覚障害を主とした末梢神経障害と自律神経障害である.自律神経障害は交代性の下痢と便秘,発汗障害,立ちくらみ,インポテンツ,排尿障害など多彩である.これに全身のやせ,心臓障害などが加わり,発症後数年~十数年を経て,心不全,尿毒症,肺炎などで死亡する.病理学的には脳や脊髄実質を除く全身臓器の組織間隙,細胞外に"アミロイド"と呼ばれる"デンプン"と同じ染色性を示す不溶性線維状物質の沈着を認める.
 1978年に下肢型でみられるアミロイドは,血清蛋白の一種,トランスサイレチン(transthyretin;TTR)から成ることが示され,その後,日本人のFAPでTTRのN末端から30番目のアミノ酸,バリン(Val)がメチオニン(Met)に置換した異型TTRが沈着していることが報告された.われわれはヒト肝臓cDNAライブラリーからTTR cDNAを単離して塩基配列構造を決定した1).この塩基配列構造から,下肢型FAPの異型TTRはValを規定するコドンGTGの最初のGがAに変異したためであることがわかった.この変異により,変異ttr遺伝子上には制限酵素NsiI切断部位の出現が予想された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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