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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻11号

1992年10月発行

文献概要

話題

ミトコンドリア脳筋症

著者: 宝来聰1

所属機関: 1国立遺伝学研究所人類遺伝研究部門

ページ範囲:P.225 - P.226

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 ミトコンドリアには,核内にあるDNAとは異なる,独自の環状DNAが存在している.このDNAはミトコンドリアDNA(mtDNA)と呼ばれ,この中には2種類のリボソームRNA,22種類のtRNA,電子伝達系を構成するサブユニットのうちの13種類の蛋白質をそれぞれコードする遺伝子が含まれている.ヒトのmtDNAは16,569塩基対よりなり,核の染色体DNAが約30億塩基対あるのに比べて,非常に小さなゲノムである.近年ミトコンドリア脳筋症で,このmtDNAに種々の異常が明らかとなった.
 ミトコンドリア脳筋症は一般に臨床病理学的に3型に分類される.すなわち,①Kearns-Sayre症候群を含む慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia;CPEO),②ミオクローヌスてんかんを主症状とするMERRF(myoclonus epilepsyassociated with ragged-redfibers),③卒中様症状を特徴とするMELAS(mitochondrial myopathy,encephalopathy,lactic acidosis and stroke-like episodes)である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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