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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻11号

1992年10月発行

文献概要

話題

ホスホフルクトキナーゼ欠損症

著者: 中島弘1

所属機関: 1大阪大学医学部第2内科

ページ範囲:P.227 - P.228

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 解糖系律速酵素ホスホフルクトキナーゼ(PFK)の筋における欠損症はグリコーゲン病Ⅷ型に分類され,最初の報告1)に由来して"Tarui病"とも呼ばれる.筋肉運動時の易疲労性を主訴とし,臨床検査では運動後の血中乳酸上昇の欠如とクレアチンキナーゼ(CK)の異常高値が認められる.また,最近は運動筋のプリン体異化亢進に基づく"筋原性高尿酸血症"2)をきたす代表的疾患としても注目される.
 類縁疾患であるグリコーゲン病Ⅴ型(McArdle病,筋ホスホリラーゼ欠損症3))との大きな相違点は,軽度の溶血と間接ビリルビンの高値を認めることで,欠損酵素である筋型PFKが赤血球PFKを構成するサブユニットの1つであることに起因する.患者筋でグリコーゲン分解から解糖の各段階の代謝産物を定量すると,フルクトース-6―リン酸およびその前段階の物質が異常に蓄積し,フルクトース-1,6―ピスリン酸が著減し,PFKステップのブロックが明瞭に示される(クロスオーバー・ポイント)4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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