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今月の主題 法医学と臨床検査 総説
死後時間の判定
著者: 髙取健彦1
所属機関: 1東京大学医学部法医学教室
ページ範囲:P.117 - P.122
文献購入ページに移動 死後,物理化学的変化により発現する死体現象は,死後経過時間の推定に有用であるばかりでなく,個体死の確認にも重要である.この死体現象には,死後早い時期に現れる早期死体現象と,比較的遅れて現れる晩期死体現象と,特異な条件下で発生する異常死体現象がある.これらの死体現象はいずれも,死体の置かれている環境条件や,死体側の条件により変化するものばかりであり,1つの死体現象からだけで死後経過時間を推定することは危険である.したがって,種々の死体現象を総合的に観察し,これらの最大公約数的範囲から死後経過時間を推定することになるが,これはおのずとかなりの幅をもった推定時間帯とならざるをえない.死後経過時間の推定は,法医学においては古くて新しい問題であり,今後,死後経過時間の判定ができるだけ狭い範囲に限定できる方法の開発が望まれる.
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