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睡眠時無呼吸症候群に対するnasal CPAP療法
著者: 赤柴恒人1
所属機関: 1日本大学第一内科
ページ範囲:P.186 - P.187
文献購入ページに移動 従来ピックウィック症候群として知られていた病態が,睡眠時の無呼吸に起因することが解明されて以後,欧米における最近20年間の睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する研究の進歩は目をみはらせるものがある.特に北米では,呼吸循環器内科,神経内科,精神科,耳鼻咽喉科などの各領域を統合した睡眠センターが各地に創設され広範なSAS研究を推進した.一方,わが国では,近年,呼吸器内科領域の医師たちが中心となって研究会が発足したり,国際的な睡眠時無呼吸に関する学会が開催されるなど,しだいに関心が高まりつつあるものの欧米に比しいまだ十分とは言い難い.これは,本疾患の病態生理が睡眠時の無呼吸とそれに伴う低酸素血症にあることが解明されていながら,気管切開以外に有効な治療法がなかったことが理由の1つであろうと思われる.
著明ないびきは,本症の重要な臨床症状の1つであり,これに対しては,耳鼻科的な咽頭形成術が有効とされ,かつこの方法が日本人の手になることもあり,耳鼻科領域では,かなり以前からいびきの治療という面で行われてきた.しかし,重症のSAS患者に対しては,気管切開以外には有効な治療法がないと考えられていた.SAS患者の自然経過についても,これまで報告がなく不明であったが,1988年に予後に関する報告1)がなされ,apnea index(1時間に出現する無呼吸の回数)が20以上の患者では,明らかに死亡率が高く,かっ,nasal CPAPという治療法が,気管切開法と同程度に有効であることが認められた.
著明ないびきは,本症の重要な臨床症状の1つであり,これに対しては,耳鼻科的な咽頭形成術が有効とされ,かつこの方法が日本人の手になることもあり,耳鼻科領域では,かなり以前からいびきの治療という面で行われてきた.しかし,重症のSAS患者に対しては,気管切開以外には有効な治療法がないと考えられていた.SAS患者の自然経過についても,これまで報告がなく不明であったが,1988年に予後に関する報告1)がなされ,apnea index(1時間に出現する無呼吸の回数)が20以上の患者では,明らかに死亡率が高く,かっ,nasal CPAPという治療法が,気管切開法と同程度に有効であることが認められた.
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