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文献詳細

雑誌文献

臨床検査36巻8号

1992年08月発行

文献概要

連載 重複表現型の白血病細胞・2

巨核球系と顆粒球系の形質を併せ持つ白血病細胞

著者: 榎本康弘1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部病理学

ページ範囲:P.816 - P.817

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 本題に入る前に電顕的ペルオキシダーゼ(PO)反応法に触れる.表は現在用いられているPQ反応法を要約したものである.光顕的にPO反応は骨髄系細胞の鑑別に古くから用いられてきたが.電顕レベルでは同一基質で固定法や基質の濃度を変えることで多系統の細胞の識別を可能にする.血液細胞には顆粒球系・単球のMPO1),血小板・巨核球系のPPO2),赤血球系のHbのPO活性を示すヘム蛋白が証明でき細胞の帰属や成熟度の判定に用いられている.MPOは幼若球では核周囲腔(NE)と粗面小胞体(r-ER),ゴルジ装置(GO),顆粒(PG)が陽性を呈するが成熟すると顆粒のみ陽性になる.一方,PPOはNEとr-ERは陽性,GOと血小板特殊顆粒(PSG)は陰性である.さらにPPOには類似の反応が表の枠内の巨核球系以外の系の細胞にも同様な局在で検出されPPO様反応と呼ばれぜいる.このためPPO活性は現在では巨核球系の特有な指標でなくなっているが,巨核芽球の同定には必要条件である.Hbはそれの有する過酸化活性で細胞基質が黒化する.これはHbの含成能に比例するため,成熟とともに黒化度は増す.以上のようにPO反応は血液細胞の電顕的観察には不可欠な方法になっている.
 FAB分類のM7急性巨核芽球性白血病では芽球のすべてが巨核球系で占められることは少なく,多かれ少なかれMPO陽性芽球の混在が認められる場合が多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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