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mecA遺伝子
著者: 平松啓一1
所属機関: 1順天堂大学細菌学
ページ範囲:P.414 - P.415
文献購入ページに移動 院内感染症として世界中に蔓延しているMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の耐性は,MRSAが産生する特異な細胞壁合成酵素であるPBP 2’(ペニシリン結合蛋白2’)によって説明される.この酵素は本来ブドウ球菌には存在しない遺伝子mecAによりコードされており,その由来は明らかでないが,ある時点で黄色ブドウ球菌の染色体上に外来性のmecA遺伝子が挿入されMRSAが誕生したと考えられる.このようにして誕生したMRSAは,その遺伝子発現がmecA遺伝子に付随したレプレッサー遺伝子産物(MecI)により抑制されており,そのままではメチシリンなどのペニシリン剤には感受性である.つまり,初期のMRSA株はメチシリン感受性であるというその呼称とは矛盾した性質を持っていたことが明らかになり,筆者らはこの初期の株を"プロトタイプMRSA"と呼んでいる.
プロトタイプMRSAからは,メチシリンをはじめすべてのβ-ラクタム剤(ペニシリン,セフェム剤の総称)に耐性の変異株が10-5という高頻度に出現する.これが現在世界中に蔓延しているいわゆるMRSA株である.このような株の染色体の構造を解析すると,どの株でも突然変異が起こってMecIレプレッサーの機能が失われていることがわかった.つまり,プロトタイプMRSAのMecIレプレッサーが失活したものがMRSAである.
プロトタイプMRSAからは,メチシリンをはじめすべてのβ-ラクタム剤(ペニシリン,セフェム剤の総称)に耐性の変異株が10-5という高頻度に出現する.これが現在世界中に蔓延しているいわゆるMRSA株である.このような株の染色体の構造を解析すると,どの株でも突然変異が起こってMecIレプレッサーの機能が失われていることがわかった.つまり,プロトタイプMRSAのMecIレプレッサーが失活したものがMRSAである.
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