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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査37巻5号

1993年05月発行

雑誌目次

今月の主題 酵素検査標準化の動向

序説

臨床検査の標準化

河合 忠

pp.459-461

 施設間における臨床検査結果の互換性を改善するために臨床検査の標準化が必要である.標準設定に当たっては,臨床検査に関連するすべての事項についての標準が必要であるが,緊急性の高いものから取り上げるとすれば,①標準物質の設定,②基準分析法,実用基準分析法の設定,などがある.標準設定に当たっては,臨床検査担当者,企業の開発者,行政関係者が協力して合意内容を作り上げる必要がある.そのうえで,この合意内容を広く知らせ,臨床検査関係者のみならず,医療関係者すべてが極力これを受け入れる方向で特段の努力をする必要がある.〔臨床検査37(5):459-461,1993〕

総説

酵素検査における標準化―日本と世界の動向

亀井 幸子 , 柳沢 勉

pp.463-467

 1970年ころから,臨床化学検査の標準化活動が活発になったが,なかでも,酵素検査の標準化は最も切実な課題であった.本稿では,日本臨床化学会酵素専門委員会(当初は談話会や分析部会として活動が行われた)を中心とする酵素活性測定の標準化について解説するとともに,国際臨床化学連合(IFCC)やヨーロッパ臨床検査標準化委員会(ECCLS)を中心とする世界的な標準化の動向を紹介する.〔臨床検査37(5):463-467,1993〕

日本臨床化学会勧告法の背景と臨床評価

菅野 剛史

pp.468-472

 日本臨床化学会が勧告した酵素活性測定法が設定されるまでの経緯,ならびに考えかたを示した.この勧告法は,基本的に施設間の測定値の格差を解消することを目的として設定された.したがって,今まで用いられた測定法と比較して臨床的評価がどのように異なるか,一致するかについても,アルカリホスファターゼ(ALP),アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を例として検討し,問題のないことを示した.〔臨床検査37(5):468-472,1993〕

標準への体系化

酵素検査におけるトレーサビリティ

桑 克彦

pp.473-478

 日常検査による血清酵素活性値の正確さの基準と正確さの合わせかたが決まった,測定温度は37℃および報告単位はU/l,37℃で,基準となる測定法は常用基準法といい,日本ではJSCC勧告法の試薬条件および測定温度のみを37℃とする測定条件で行う用手法であり,同様にヨーロッパではECCLS/GSCCにより定められた用手法である.日常検査法によるデータはこの常用基準法によるデータに合わせる.〔臨床検査37(5):473-478,1993〕

酵素検査の標準物質

中山 年正

pp.479-485

 酵素検査標準化の障害は,①基準となる測定法が確定しても,標準物質を設定できずにいること,②そのために各施設が自分の位置を確認する手段が希薄なこと,③その背景には標準物質に対する日本の特殊な体制の問題があること,を指摘した.現状において重要なことは,定常的に評価を行える検査機関(reference laboratory,仮称)の育成である.〔臨床検査37(5):479-485,1993〕

技術解説

日本臨床化学会勧告法の実際

山舘 周恒 , 関口 光夫

pp.487-493

 本邦での酵素活性測定のリファレンスシステムにおいて,頂点に位置づけられる日本臨床化学会勧告法について,その役割と実施時の技術的な事項を中心に述べた.これまで,勧告法そのものの普遍性を確認した報告が不足していたが,今回,数施設のミニサーベイによって普遍性の検証が行われ,ほぼ満足できる結果が得られた.しかし,項目によっては測定値の施設間差がやや大きく,測定手技の細部を再確認し,統一化することの必要性も認められた.このような状況から,ここでは勧告法を実際に実施することを想定した解説を行った.〔臨床検査37(5):487-493,1993〕

反応指示物質を用いる方法

大貫 経一

pp.494-498

 血清酵素活性測定における検量係数を反応指示物質を用いた実測検量係数K値で設定することにより,同一測定キットのデータの互換性が得られる.しかし,測定キットの試薬条件が異なる場合など測定方法が異なったりすると,データの一致は得られない.そこで,測定方法が異なる場合でもデータの一致を図るには,日常検査法の直接の基準としての常用基準法による測定値からの距離を求めて,これを補正すればよい.この距離は各測定キットごとに定められ,この距離を補正する補正係数KRを決めることができる.最終的に実測検量係数K値に,このKRを乗じれば各データはすべて互換性が得られる.〔臨床検査37(5):494-498,1993〕

酵素標準物質を用いる方法

片山 善章

pp.499-505

 酵素活性測定の施設間差を解消するためにいくつかの方法が行われているが,ここでは,酵素標準物質を用いる測定法について述べた.しかし,現在のところ公に認められた酵素標準物質がないため,この方法による酵素検査の標準化はほとんど行われていないのが現状である.〔臨床検査37(5):499-505,1993〕

測定法と技術的評価

AST,ALTの常用基準法

中野 尚美

pp.506-511

 わが国における血清ASTおよびALT測定の標準的測定法として十分な検討の結果,専門家の合意の得られた方法として日本臨床化学会(JSCC)から1989年に公表されたJSCC勧告法の測定温度は30℃である.しかし,日常の酵素検査は99%以上の施設において37℃で行われているのがわが国の現状のようである.この測定温度の問題に対処し,日常検査値の標準化を図る目的で新しく提案されたAST,ALT測定のJSCC常用基準法について,勧告法を基に技術的な面から検討を行った結果を含めて解説する.〔臨床検査37(5):506-511, 1993〕

LD,CKの常用基準法

大澤 進

pp.512-518

 常用基準法は37℃で測定されるが,温度変更に伴う普遍的な性能評価として6施設で実施した測定では,施設間差は乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)でCV4.8,7.2%,またクレアチンキナーゼ(CK)でCV1.9,2.5%とそれぞれ満たされている.LDの測定に際しては予備加温時間が20秒と短いため,37℃測定の常用基準法では温度の確認が普遍性を確保するための重要な因子と考えられている.CKでは温度変更に伴う問題点は特筆するものはない.〔臨床検査37(5):1512-518,1993〕

ALP,γ-GTの常用基準法

山舘 周恒

pp.519-526

ALPとγ-GTの常用基準法を実施することを想定して,実際の技術的な事項に重点を置いて述べた.酵素活性の測定体系に,日常測定法と勧告法の"橋渡し"的役割を担う常用基準法が登場したのは最近のことであり,現在,国内では常用基準法制定の過渡期と思われる.日本臨床化学会(JSCC)の酵素専門委員会では,すでに制定された勧告法の測定温度のみを30℃から37℃へ変更した方法を常用基準法とする考えを示し,合意の方向へ進んでいる.ここでは,このような動向を踏まえて,ALPのJSCC勧告法を基にしたALP常用基準法を解説した.JSCC勧告法が制定されていないγ-GTについては,国際臨床化学会(IFCC)の方法を37℃での測定として,これを仮の常用基準法と考え解説した.〔臨床検査37(5):519-526,1993〕

座談会

酵素検査の標準化をめぐって

亀井 幸子 , 瀬戸 四郎 , 中 恵一 , 奥田 潤 , 中山 年正

pp.527-537

酵素検査の標準化は,いくつかの障害を乗り越えながら着実に進行しつつある.とりわけ,日本臨床化学会が"常用基準法"を提案したことは1つの進歩である.しかし,国際的な視野から見ると,よりいっそうの進展も必要となる.酵素検査の標準化がはらむ諸問題を歴史的経緯を踏まえて具体的に取り上げ,さらなる進展に必要な視点,今後の展望を語っていただいた.(於・医学書院,1993.1.11)

COFFEE BREAK

VIP

𠮷野 二男

pp.462

 国際交流が盛んになり,外国からも多くの人々が往来するようになりました.そのうち,外交上で特に重要な入物をVery Important Personとして,警護を厳重にし待遇を厚くします,略してVIPと言います.また特別な待遇を与えることをVIP扱いするなどと言います.これにならって,外交官だけでなく日常会話のなかにもVIPという言葉が出てきたりします.

 医学関係では,腸管内のペプチドあるいはポリペプチドで血管に作用を及ぼすものをVasoactive Intestine PeptideまたはPolipeptideと言い,やはりVIPと略します.

ただ過ぎるもの

屋形 稔

pp.518

 今年の正月は北国新潟市でも穏やかな日和が続き,近年にないゆったりとした気分であった.年初の決意といっても格別のものもなく,年賀状に"ただ過ぎに過ぐるもの帆かけたる舟.人の齢.春夏秋冬"という枕草子の一節を書いてきた人がおり,まったく同感.

 初詣では市民に親しまれている白山神社に詣でたが,不況のせいか例年になく神頼みの人出が多く,神殿前は長い行列で入れないので2日にまた出直してお札を手に入れた.

学会だより 第4回日本臨床微生物学会総会

微生物検査の迅速化に朗報

小栗 豊子

pp.486

 日本臨床微生物学会(理事長:清水喜八郎東京女子医大教授)は臨床微生物学と感染症検査法の進歩発展を図ることを目的に,1990年に誕生した新しい学会である.会員は臨床医,臨床検査技師,基礎医学者などで構成されており,1月の総会には毎回約1,000人の参加者をみている.

 第1回(紺野昌俊会長)は臨床微生物検査の現状をアンケート調査により解析し,多くの検討課題が明らかにされた.これを受けて第2回総会(斎藤厚会長)では呼吸器感染症検査(特に喀痰)が,第3回総会(上野一恵会長)では嫌気性菌感染症検査が主題とされ,いずれもガイドライン作成を目的に開催されている.それゆえ医療に関連した微生物検査室のスタッフは,本学会に対し日常検査の問題解決の場として大きな期待を寄せている.

学会だより 第9回日本産婦人科腫瘍マーカー研究会

産婦人科腫瘍マーカーの現況と新知見

鈴木 正明

pp.538

 第9回日本産婦人科腫瘍マーカー研究会は1993年2月12日,東京大学医学部附属病院分院産婦人科の川名尚教授を学術集会会長として開催された.本研究会は1985年から代表世話人として千葉大の高見沢裕吉教授,当番世話人として東京医大の故秋谷清教授が発起人となり設立され,毎年原則として2月に学術集会が催されることとなった.たまたま,平成元年度から研究会のさらなる発展を期してモデルチェンジをし,本研究会の会長に天神美夫先生が任命され,会員から会費を徴集する形式になった.現在の会員数は467名であり,年々増加傾向にある.また,会場を臨床的な部門と基礎的な部門の2つに分け,若手研究者の活発な討論ができるように構成されている.

 腫瘍マーカーは婦人科領域においても悪性腫瘍の診断,治療効果のモニタリング,再発の早期発見などに不可欠なものになってきているが,その限界も判明しつつある.最近の本研究会におけるシンポジウムのテーマとしては,第7回が「CA125産生能をめぐる諸問題」「卵巣癌の再発をめぐる腫瘍マーカーの推移とその問題点」,第8回が「腫瘍マーカーと画像診断」であり,そして今回は「卵巣癌の初回治療時における腫瘍マーカーの推移とその問題点」を取り上げ,術後における腫瘍マーカーの意義について検討がなされた.

目でみる症例―検査結果から病態診断へ・5

アミラーゼアイソザイムで特異な泳動像を呈した症例

杉田 収

pp.539-542

●検査結果の判定●

1.セルロース・アセテート膜電気泳動法よるアミラーゼアイソザイム分画像

 〔症例1・判定〕膵臓型アミラーゼ(P)と唾液腺型アミラーゼ(S)の中間に強いアミラーゼの活性バンドがみられる(図1).中間のバンドはP由来の場合と,遺伝性の場合があり,この泳動像のみでは,その判定はできない.

TOPICS

血清ステロイドスルファターゼの測定

菅原 照夫

pp.543-544

1.はじめに

 ステロイドスルファターゼ(STS)は細胞内ミクロゾームに存在し,ステロイド硫酸の3β位の硫酸基を脱硫酸する酵素である.ステロイド硫酸はステロイドレセプターと結合しないため不活性であり1),組織局所においてSTSにより脱硫酸化されて活性ステロイドホルモンとなる.

 本酵素STSはヒト組織に広く分布し,副腎,肝臓,皮膚,卵巣,精巣,ことに胎盤において豊富に存在していることが知られている2).一方,血清中のSTS濃度は低く,従来のトリチウムラベルされたステロイド硫酸を基質として活性を測定するという方法3)では血中STSの測定は困難であった.そこで,筆者はELISA法を開発することにより血清STS値の定量を試みた.

セレベリン

水野 安二 , 高橋 利広 , 大根田 実

pp.544-545

1.はじめに

 1984年,Slemmonらによってラット小脳から,分子量1,633の16個のアミノ酸残基から成るポリペプチド,セレベリン(cerebellin;CB)とセレベリンの2-16のアミノ酸配列に相当するdes-Ser1-セレベリンが単離された1)(表1).セレベリンはマウス2),ラット3),モルモット3),ブタ4)やヒト4,5)において小脳に高濃度存在することが報告されている.Yiangouら4)によれば,ヒト小脳に存在するセレベリンの分子型は主としてdes-Ser1-セレベリンであるが(95%以上),ブタやラット小脳ではセレベリンとdes-Ser1-セレベリンがほぼ同量存在することが判明した.この相異は不明だが,セレベリンのセリン―グリシン結合を分離する酵素量が種によって異なることが示唆されている.

 初め,セレベリンは小脳に特異的なペプチド1)と考えられたが,視床.視床下部・海馬・延髄・橋・嗅球などの脳の各部位および脊髄神経や消化器・心臓・腎臓などの末梢組織にも低濃度ながら広く認められている3,4).われわれのヒト剖検脳の検討では,セレベリン濃度(pmol/g湿重量)は小脳半球36,小脳虫部38と高く,小脳以外では視床下部7.5,延髄3.5と比較的濃度が高く,その他では,橋1.4,嗅球1.2,視床0.5であった(表2).

髄液中シスタチンCと脳アミロイドアンギオパチー

藤原 茂芳 , 下手 公一 , 長井 篤 , 今岡 かおる , 小林 祥泰 , 恒松 徳五郎

pp.545-547

 脳出血の大部分は,脳の血管の動脈硬化性変化に高血圧症の要素が加わって起こるが,最近,脳出血の原因として,脳のアミロイトアンギオパチー(cerebral amyloid anglopathy;CAA)か注目を集めるようになった.

 CAAは,脳の血管に特異的にアミロイドか沈着する疾患で,血管がもろく出血しやすくなる.高血圧のない中高年患者に多発性,再発性の皮質下出血を引き起こすのか典型的な例である.高血圧性の脳出血と異なり,治療のための脳外科的手技(血腫除去術など)は,脳出血再発の引き金となる恐れがあり禁忌で,もっぱら保存的な治療か主となる.術前診断か重要であるが,確定診断は病理所見に頼らざるを得ず,困難であった1)

左室拡張能の新しい指標―超音波ドプラ法

三宅 仁 , 吉川 純一 , 赤阪 隆史

pp.547-549

 従来から左室拡張能の指標として,心臓カテーテル検査による時定数τやRI法(心プールシンチ)による左室容量曲線から求めた最大左室充満速度(peak filling rate;PFR)などが用いられてきた.近年,超音波パルスドプラ法を用いて得られる左室流入血流速パターンは,心臓カテーテル検査やRI法によって得られる左室容量曲線と相関することから,左室拡張能の指標として用いられている.本法は非侵襲的に簡便にベッドサイドで繰り返し行えるため,本法を用いた左室拡張能の指標が広く用いられるようになってきている.本稿では,左室拡張能の指標として,超音波ドプラ法,特にパルスドプラ法による左室流入血流速パターンの分析を中心に解説する.

 本法によって得られた健常例の左室流入血流速パターンでは,図1に示すように急速流入波Eの最大速度(PFVE)が心房収縮波A波の最大速度(PFVA)より速く,またE波のピークからの減速時間(deceleration time:DcT)は200msec程度である.左室の拡張能は加齢にともなって低下するため,一般に年齢とともにE波は減高し,A波は増高する.そして,健常例においても55歳前後を境にしてA波はE波に比べて高くなり,その比A/Eは1より大となる.

若年層に拡大するクラミジア感染

松田 静治

pp.549

 近年若年層の男女におけるSTDの問題が注目されているが,このことは最近の性意識の変化,性行為の多様化と関係があると考えられる.STDのなかで最も多いのはクラミジア・トリコマチス(Chlamydia trachomatis)感染症である.

 クラミジア感染症は,米国では年間300万を超える患者が発生し,CDC(米国防疫センター)の推定では,子宮付属器炎(PID)の20%はクラミジアによるとされ,非淋菌尿道炎も35~60%がクラミジアによって起こることが指摘されている.クラミジアによる感染の病態の特徴は,不顕性感染の多いことであり,検査を行わなければ診断を見逃すことになる.

研究

血清逸脱酵素に及ぼす運動負荷の影響―コンパートメントモデルによる解析

東 純一 , 瀬戸 米蔵 , 大嶋 好和 , 丸山 一伸 , 徳田 浩三 , 小椋 盛孝

pp.551-555

運動負荷後に血清GOT (AST),LDH(LD),ALDおよびCPK活性は負荷前の約10~254倍に上昇した.GPT(ALT)およびICDは2~4倍の上昇であった.一方,OCTは負荷後に負荷前の1/2以下に低下した.ALP,アミラーゼ,LAP,ChE (CHE)およびγ-GTP(γ-GT)は変動しなかった.また,上昇した酵素のうち,ICDを除く5種の酵素をラグタイムを考慮した1―コンパートメントモデル式で解析した.その結果,モデルシュミレーションと実測値はよく一致し,運動後の血清酵素活性の推移が1-コンパートメントモデルに当てはまることが明らかとなった

私のくふう

小分けしたサンプルの効率的な整理法

林 俊治

pp.556

 凍結融解を繰り返すことのできないサンプルは少なくありません.このようなサンプルは,できるだけ少量に小分けして凍結保存する必要があります.しかし,比較的汎用されている容量1,500μlのマイクロ遠心管を用いた場合,数百マイクロリットルずつの分注では1本当たりかなりのスペースがむだとなってしまいます.この遠心管は,13cm×13cmのフリージングボックス1つ当たり81本しか収納できません.フリーザーは設備費も維持費もけっして安いものではありませんから,このようなスペースのむだはできるだけ避けなくてはなりません.そのためには,できるだけ容量の小さな容器を用いる必要があります.安価で小さな容器としては容量350μlのマイクロ遠心管がありますが,この遠心管は小さすぎるためその整理が困難です.

 そこで,身近にある材料を用いてこの遠心管の収納方法を工夫してみたところ,簡便で収納効率も良いので紹介します.

資料

大小2台の自動分注装置を用いた血清分離とサンプリングの省力化

桑原 正喜 , 前田 孝子 , 田中 孝子 , 吉田 玲子 , 西本 全一郎 , 有吉 寛

pp.557-562

 近年検査部門の自動化あるいはシステム化が図られてきているが,血清分離あるいは自動分析機に乗らない検査のサンプリングの工程の自動化はほとんど成されていない.われわれはこの自動化あるいは省力化のために2台の自動分注装置を検査部システムに組み込んだ.稼働開始後半年を経過し当初の目的に達し順調に稼働しているので,このシステムを紹介する.

Micral-Test®による糖尿病患者尿中微量アルブミンの測定

相澤 徹 , 宮澤 順子 , 森泉 香澄

pp.563-565

 尿中微量アルブミンの半定量試験紙法であるMicral-Test®の使用経験を報告する.103名の糖尿病患者の随時尿を材料とした.本法による測定値はラテックス凝集法で求めた尿中アルブミンの値とよく相関し,尿を4℃で24時間保存しても測定値は変動せず,酸や糖の共存は測定値に影響を与えず,また,同一サンプルを再検査した場合の再現性も良好であった.Micral-Test®は尿中アルブミン排泄量測定のスクリーニング法として有用である.

質疑応答 臨床化学

Ni/ビウレット試薬による血清総蛋白質の定量

松下 誠 , S生

pp.567-569

 Q 血清総蛋白質の定量にはビウレット法が広く用いられています.ビウレット試薬には硫酸銅が処方されていますが,最近になり硫酸銅に代え,ニッケル化合物を処方したNi/ビウレット試薬により血清総蛋白質の定量法が考案されたことを目にしました.Ni/ビウレット試薬による定量法の利点はどのへんにあるのでしょうか.また,この方法は自動分析機に適用できるのでしょうか.

浸透圧計の機種選択とその測定値

長浜 大輔 , 佐藤 久美子 , K生

pp.569-571

 Q 浸透圧計を導入しようと機種を調べたところ,氷点降下法,蒸気圧降下法など複数の方法があります.導入に当たっての基準を教えてください.また,異なった方法の測定装置で測定した場合の値の隔りはどれくらいあるのでしょうか.

正常域上限値かAST<ALTとなることについて

三浦 裕 , T生

pp.572-574

 Q 教科書ではASTとALTの健常者の上限値はAST>ALTと記載されています.最近自施設で検討したところ,AST<ALTとなりました.これは誤りでしょうか.また,このような結果となった原因を解析したいのですが,どのような検討を行えばよいでしょうか.ご教示ください.

質疑応答 臨床生理

胸郭出口症候群の脈波検査

福永 壽晴 , 菅野 明美

pp.574-575

 Q 胸郭出口症候群における,上腕の外転負荷時の指尖容積脈波についてお教えください.

質疑応答 一般検査

DHA結晶の同定と鑑別法

今井 宣子 , 成田 浩喜

pp.575-576

 Q DHA結晶により小児ではまれに尿路結石を生じることがあるそうです.尿沈渣中に出現した場合の同定法,および紛らわしい結晶との鑑別法をお教えください.

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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今月の特集1 もっと知りたい! 川崎病
今月の特集2 CKDの臨床検査と腎病理診断

60巻5号(2016年5月発行)

今月の特集1 体腔液の臨床検査
今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

60巻4号(2016年4月発行)

今月の特集1 血漿蛋白—その病態と検査
今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

今月の特集1 日常検査からみえる病態—心電図検査編
今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

今月の特集1 深く知ろう! 血栓止血検査
今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

今月の特集1 ウイルス性肝炎をまとめて学ぶ
今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

今月の特集1 見逃してはならない寄生虫疾患
今月の特集2 MDS/MPNを知ろう

59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

59巻6号(2015年6月発行)

今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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