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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻10号

1994年10月発行

文献概要

今月の主題 胃・十二指腸疾患と検査 話題

胃癌検診の意義の再検討

著者: 大島明1

所属機関: 1(財)大阪がん予防検診センター調査部

ページ範囲:P.1181 - P.1183

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1.はじめに
 わが国の1955年以降の胃癌死亡の推移をみると(表1),この40年弱の胃癌死亡者数は男女合わせて5万人弱で大きな変化はないが,年齢調整死亡率は,ピーク時の1960年に比べて,1992年には約1/2以下に減少し,全癌死亡中の割合も半減している.また,1993年の人口動態統計(概数)によると,胃癌が長らく占めていた部位別癌死亡数のトップの座は,男性においては肺癌にとって代わられたことが示されている.このように,近年,胃癌のウエートは相対的には確実に下りつつある.
 わが国は世界有数の胃癌多発国という背景もあって,1960年代には,胃X線二重造影法,X線テレビ,胃内視鏡などが開発・改良され,わが国の胃癌の診断技術は世界で最も進歩している.また,この進んだ診断技術を広く国民に利用してもらうための間接胃X線検査による胃癌検診のシステムも,1960年代には整備が進んだ.胃癌の早期診断・早期発見の機器や体制の整備と年齢調整死亡率の減少開始時期がほぼ一致していることから,胃癌死亡の減少は,早期診断や検診の成果であると言われることが多い.しかし,果たしてそうであろうか.以下,簡単に検証してみることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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