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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻10号

1994年10月発行

文献概要

今月の主題 胃・十二指腸疾患と検査 話題

焼き魚・焼き肉の発癌性―その後の進展

著者: 長尾美奈子1

所属機関: 1国立がんセンター研究所発がん研究部

ページ範囲:P.1184 - P.1185

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1.はじめに
 魚や肉を加熱すると,強い変異原物質,ヘテロサイクリックアミン(HCA)が生ずる.2-アミノ-1-メチル-6-フェニルイミダゾ〔4,5-b〕ピリジン(PhIP)および2-アミノ-3,8-ジメチル〔4,5-f〕キノキサリン(MeIQx)をはじめ,19種の化合物が変異原物質として,単離構造決定されている.これらのうち,ラット,ハムスター,マウスおよびサルを用いて発癌性テストをした10種類の化合物はすべて腫瘍を誘発した.標的臓器は多様性に富んでおり,1つの化合物が複数の臓器に腫瘍を作り,かつ異なった動物種では異なった腫瘍が発生する.ヒトは毎日,これらHCAを摂取している(表1).ヒトの摂取量は,HCA単独では発癌に至らないと推定される.しかし,炎症などを含め,発癌がプロモーションされる状況下では(それはしばしば起こっているであろう),ヒトの種々の臓器の癌発生に関与している可能性が考えられる.これまで報告されている実験動物における大腸発癌物質は15を超えない.そのうち5化合物はHCAである.ここではHCA誘発大腸癌に焦点を絞って最近の進歩を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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