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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻10号

1994年10月発行

文献概要

トピックス

βアミロイド蛋白前駆体蛋白

著者: 岡輝明1

所属機関: 1東京大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.1203 - P.1204

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 高齢化社会を迎え,深刻な社会問題となっている老年期の痴呆性疾患はアルツハイマー病と脳血管性痴呆に大別される.アルツハイマー病は,65歳未満に発症する狭義の初老期アルツハイマー病と老年期のアルツハイマー型老年痴呆とを合わせた呼称であり,不明の部分の多い難病である.初老期アルツハイマー病は通常孤発性であるが,まれに常染色体優性遺伝を示す家族性アルッハイマー病も知られている.アルツハイマー病の脳病理所見は,アルツハイマー神経原線維変化および老人斑の出現などの特徴的変化のほか,神経細胞の変性・消失および顆粒空胞変性,反応性の星状膠細胞増生などが観察され,これら一種の老年性変化が生理的部位・程度をはるかに越えて,大脳新皮質にも高度かつ広範に観察されるのが特徴である.
 これらの神経病理学的変化のうち,老人斑はアルツハイマー病のほかダウン症候群の脳にも認められ,Bodian法などの鍍銀法で明瞭に観察されるさまざまの大きさの好銀性の球状構造であり,HE染色標本では注意していないと見落としてしまう.古典的な老人斑は,中心部にアミロイド物質の沈着を伴う芯(central core)を持ち,それを腫大した変性神経突起が花冠状に囲み,その周囲に反応性のグリア細胞が出現する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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