外科手術を施行するに際して,緊急手術を除いては,患者の状態を術前に臨床検査成績を用いて評価することが重要であることはいうまでもない.近年,高齢化が進み,特にハイリスクの患者に対しても手術をすることが多くなっている状況からしてみればなおさらのことである.それゆえ,外科手術と術前評価の方法としての臨床検査は表裏一体と言っても過言ではない.
しかし,臨床検査成績を有効に評価するためには外科手術侵襲に対する生体反応を理解しなければならない.特に近年ではインターロイキンやTNF(tumor necrosis factor)を中心としたサイトカインの動態に焦点が向けられていることは周知の事実であり,インターロイキンの受容体拮抗剤の臨床応用も近いと言われている.