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文献概要
今月の主題 常在菌 巻頭言
常在菌研究の重要性
著者: 紺野昌俊1
所属機関: 1帝京大学医学部
ページ範囲:P.517 - P.519
文献購入ページに移動抗菌薬療法の理念の変遷
抗菌薬の発達とともに,それが臨床家によって自由に使用されるようになるにつれ,抗菌薬に対する理念も次第に変わってきた.もはや,外科的手術やカテーテル挿入時はもとより,抗白血病療法に伴う顆粒球減少症や臓器移植に伴う免疫抑制剤使用時の感染予防に抗菌薬を使用することは不可欠のように考えられている.
そこには生体内に侵入した病原微生物を選択的に抑制するといった抗菌薬開発当初の理念は存在していない.より高度に発達した医療を行うには,ヒトに常在する平素無害な細菌叢をも抑制するといった考え方である.その理念はうなずけるとしても,そこから派生する実際の行動は,抗菌薬にのみ依存し,本来必要とするはずの無菌操作すらも省略化されている.MRSAによる院内感染などは,その典型であろう.
再び多くの医療関係者に感染症の成立と抗菌薬の使用について,その臨床病理学的意味を,よく理解してもらわなければならない時期が到来していると言うべきであろう.
抗菌薬の発達とともに,それが臨床家によって自由に使用されるようになるにつれ,抗菌薬に対する理念も次第に変わってきた.もはや,外科的手術やカテーテル挿入時はもとより,抗白血病療法に伴う顆粒球減少症や臓器移植に伴う免疫抑制剤使用時の感染予防に抗菌薬を使用することは不可欠のように考えられている.
そこには生体内に侵入した病原微生物を選択的に抑制するといった抗菌薬開発当初の理念は存在していない.より高度に発達した医療を行うには,ヒトに常在する平素無害な細菌叢をも抑制するといった考え方である.その理念はうなずけるとしても,そこから派生する実際の行動は,抗菌薬にのみ依存し,本来必要とするはずの無菌操作すらも省略化されている.MRSAによる院内感染などは,その典型であろう.
再び多くの医療関係者に感染症の成立と抗菌薬の使用について,その臨床病理学的意味を,よく理解してもらわなければならない時期が到来していると言うべきであろう.
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