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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻5号

1994年05月発行

文献概要

今月の主題 常在菌 話題

細菌性腟症

著者: 松田静治1

所属機関: 1江東病院産婦人科

ページ範囲:P.592 - P.594

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1.はじめに
 腟トリコモナス症,腟カンジダ症のような特定の病原微生物によらない腟の感染を,従来非特異性腟炎(non-specific vaginitis)と総称してきたが,この概念はまことに漠然としたものであった.最近までGardnerella vaginalisが有力な原因菌と考えられていたが,近年嫌気性菌の意義も強調されるようになった.しかし,細菌性の腟炎では,初めから特定の細菌を見いだしえないものもあり,今なおその成因にはさまざまな意見がある.確かに腟自浄作用の低下,化学的・器械的刺激,エストロゲン機能の失調などの誘因が細菌増殖に関連するのであろう.
 ただ,今まで用いられてきた非特異性腟炎という呼び名は,単に不特定の細菌による腟炎,あるいは不特定の基準が診断に用いられるかのような印象を与えているようで適当ではなく,むしろ非特異性に代わって"細菌性"という名を冠したほうがよいという考え方から"細菌性腟症(bacterial vaginois)"という名称が1984年WHOのワークショップで提唱され漸次普及してきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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