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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻5号

1994年05月発行

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トピックス

MPNST

著者: 辻香織1 今村哲夫1

所属機関: 1帝京大学医学部病院病理部

ページ範囲:P.601 - P.602

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 MPNST(malignant peripheral nerve sheathtumor;悪性末梢神経鞘腫瘍)は,これまで悪性神経鞘腫(malignant shwannoma)と呼ばれていたものと同一疾患であり,末梢神経から発生する代表的な悪性腫瘍である.1969年のWHO軟部腫瘍分類1)ではmalignant shwannomaと命名されていたが,1992年同分類委員会でMPNSTという名称に変更された2)(表1).これは英語での命名の問題であり,日本語名ではほとんど変わっていない.以下,名称が変更されたゆえんを歴史的背景とともに解説し,最後に本腫瘍の臨床病理学的特徴について説明する.
 まず末梢神経の基本的な組織構造について説明すると,末梢神経は神経線維(軸索;axon)とそれを被包する支持組織である神経鞘(nervesheath)から成る.神経鞘には神経上膜(epineur-ium),神経周膜(perineurium),神経内膜(en-doneurium)およびSchwann細胞がある.そして神経周膜は神経周膜細胞(perineurial cell)と膠原線維から成る.これらの成分は図1に示すように最外層に神経上膜,その内側に多数の神経束が束状になって走行する構造をとり,1つの神経束を拡大すると神経周膜の内側に軸索を取り囲むSchwann細胞がみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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