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文献詳細

雑誌文献

臨床検査38巻5号

1994年05月発行

トピックス

VCM耐性腸球菌

著者: 平松啓一1

所属機関: 1順天堂大学細菌学教室

ページ範囲:P.603 - P.604

文献概要

1.はじめに
 グラム陽性菌感染症に有効な抗菌剤として欧米を中心に用いられてきたバンコマイシン(van-comycin;VCM)は,25年にもわたって耐性菌の出ない抗生物質として貴重な存在であった.現在でも多剤耐性の黄色ブドウ球菌MRSAの治療に欠かせない切り札として重用されている.耐性菌が出にくいと考えられた理由はその作用機序により説明される.
 VCMは,細菌の生存に必須の細胞壁の合成を,その構成成分であるペンタペプチドの末端部にあるD-Ala-D-Ala (Ala:アラニン)部分に結合することによって阻害する.この末端のジペプチド(2つのアミノ酸残基からなるペプチド)部分は,細胞壁合成酵素であるPBP(penicillin-bind-ing protein)が認識する部分に相当し,したがってこのジペプチドの構造が変化すれば,VCMに耐性となっても,PBPによる細胞壁合成機能も著しく阻害されるはずだと考えるのが自然である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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