資料
プレザパツクⅡ®とQS90TMによる電解質測定
著者:
中里浩樹1
松田富雄1
芦田ひろみ1
西池淳1
森秀麿1
所属機関:
1金沢医科大学麻酔学教室
ページ範囲:P.1225 - P.1227
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動脈血採血用サンプラーに含まれるヘパリンリチウムは陽イオンをキレートするため,電解質を低値に計測することが報告されている.ラジオメータ社製QS90はヘパリンにNa,K,Caを加えたバランスドヘパリンにより陽イオンに与える影響がほとんどないとされている.筆者はヘパリンリチウムを含むテルモ社製プレザパックII(P群)とQS90(Q群)の動脈血電解質,血液ガスの測定比較検討を100症例において行ったところ,pH,Pco2,Po2に関しては両群間には有意差は認められなかったが,Na(mmol/1)はP群135.8±2.95,Q群137.7±2.94,K(mmol/l)はP群3.81±0.52,Q群3.90±0.51,Ca(mmol/1)はP群0.97±0.05,Q群1.16±0.05で,Na,K,CaすべてP群はQ群よりも有意に低値を示した(ρ<0.01).また両群の平均値の差は,Na1.38%,K2.31%,Ca15.74%であった.両群間の相関係数(γ)はNa,K,Caそれぞれにおいて0.937,0.973,0.494であった.これまでの他の報告でもプレザパックⅡによる電解質測定値の低値の報告は数々あるが低値の原因はヘパリンによるキレートであるとされているが今回使用したQS90はバランスドヘパリンによりキレートされるNa,K,Ca,補正できると言われている.今回いずれの測定値が正常値に近似しているかは検討していないが,Caにおける平均値の差が15.74%と大きいことは臨床上問題と考える.