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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻11号

1995年10月発行

文献概要

特集 免疫組織・細胞化学検査 基礎と技術 5.固定法

1)組織固定法

著者: 菅野純1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部感染免疫病理学

ページ範囲:P.24 - P.26

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 形態学的研究は生きたままの状態の組織を観察できれば理想的である.しかし,現実には生体から組織を摘出して観察することが多い.観察し終えるまで可能な限り理想に近い状態を維持する操作を"固定"と定義できよう.固定法に要求される第1の機能は,組織構築を含め,存在する構成要素(分子)が移動しないようにすることにある.そのために,分子間に架橋を形成させたり,溶出しやすい分子を不溶化したりする操作が行われる.第2の機能は,組織中の分解酵素系を失活させて組織の変性を阻止することである.免疫組織染色を目的とする場合には,第3の機能として,抗原性の維持が要求される.
 第1,第2の機能を得るために考案されてきた固定法の多くは,蛋白質間の架橋形成,蛋白変性や凝固がその主作用である.抗原性は抗原決定部位に架橋が生じたり,3次構造が変化することで失われることが多いので,第3の抗原性の維持とは相反することが多い.その点,未固定凍結切片は抗原性の維持には最適である.しかし,固定されていないので,染色操作中に抗原分子,特に低分子の流出の危険性が大きいという問題点がある.よって,現状では免疫染色に関するオールマイティな固定法は存在せず,目的とする抗原の性質に適した方法を選択せざるをえない.以下に,抗原分子の性質別に固定法を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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