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リンパ管と毛細血管
著者: 岡田英吉1
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部第1病理
ページ範囲:P.41 - P.41
文献購入ページに移動悪性腫瘍の組織診断に際して毛細血管と毛細リンパ管を鑑別することは重要であるが,通常の組織標本では鑑別が難しい.現在この両者を確実に鑑別する実用的な方法は酵素組織化学的な内皮細胞の性質の差を利用するものである.このためには酵素を失活させないために通常のホルマリン固定・パラフィン包埋法は使用できないが,冷アセトン固定・凍結切片では可能である.血管内皮細胞はその毛細血管の後半部(静脈側)でジペプチジルペプチダーゼIV(DP-IV)の酵素活性が高く,その前半(動脈側)ではアルカリホスファターゼ(ALP)の酵素活性が高い.Lojda法によるDP-IVの酵素組織学反応とBur-stone法によるALPの反応を二重に施すことにより,それぞれ赤色と青紫色に毛細血管の全長を染色できる.毛細リンパ管内皮はどちらの反応も陰性である.毛細リンパ管内皮細胞は5’-ヌクレオチダーゼ(5NA)の酵素活性が毛細血管より高い.したがって,適当なパラフォルムアルデヒド後固定を施した後にWachstein法による5NA反応を施すと毛細リンパ管内皮を選択的に黒褐色に染色できる.組織をアセトン固定→凍結・薄切→DP-IV反応→ALP反応→後固定→5NA反応の順で処理すると,同一切片上での三重染色が可能である.また,冷アセトン固定・
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