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文献詳細

雑誌文献

臨床検査39巻11号

1995年10月発行

文献概要

特集 免疫組織・細胞化学検査 臓器別応用例 5.造血器系

3) Tリンパ腫

著者: 上平憲1

所属機関: 1長崎大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.211 - P.213

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はじめに
 悪性リンパ腫(malignant lymphoma;ML)とは,リンパ組織(主にリンパ球)に発生する悪性腫瘍性病変で,臨床的にはリンパ節を中心に腫瘤を形成する疾患と定義される.リンパ球は免疫学的にB,T細胞の二大サブセットに分類され,この中のT細胞由来のものがT-MLである.従来,MLは組織形態学的に同定・分類されていたが,1970年以降の現代免疫学の進歩は,リンパ腫細胞の生物学的特性をも次々に解明し,免疫学的T,B細胞同定も容易になり,MLの疾患概念の理解や分類・命名法などに多大の影響を与えた.
 一方,MLの腫瘍細胞の研究成果が,正常B,T細胞分化過程の理解に対しても大きな役割を担ってきた.悪性リンパ腫自体は,今も昔も同じ"病気"であるが,分子生物学的な新しい細胞同定法はさらに新たな発見をもたらし,同じ疾患に別々の病名が付けられたり,ときにはB-MLとされていたものが実はT-MLであったなど,いまだ流動・発展の途上のものも多く,ときに混乱することもある.特に,T-MLは腫瘍細胞の単クローン性の同定が煩雑なことや腫瘍細胞の機能(主にサイトカインの分泌)のからみで病理組織像のみならず臨床像にも多様性があり,B-MLに比較すればいまだ未知の部分も多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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