文献詳細
文献概要
コーヒーブレイク
病気との出合い
著者: 屋形稔1
所属機関: 1東新潟病院
ページ範囲:P.290 - P.290
文献購入ページに移動 昭和25年ごろの話である.当時私は新米医師として内科教室に入りたてであった.それがいきなり新しい入院患者の受持ちにさせられた.24歳の未婚婦人で数年前から無月経になり,少し食べると胃が一杯になり次第に痩せて健康時41kgの体重も24kgに減り,女性ホルモンを使っても月経発来せず入院した.文献上の下垂体性るい痩(やせ)症という概念によく似ていたが,当時は基礎代謝測定のほか,いっさいホルモン検査法などなく,確定診断に迷い新任の鳥飼龍生教授からは後に有名になった赤エンピッ指導で鋭いしごきにかけられ,こちらが死にたくなるような毎日であった.
ところが英国誌"Lancet"などを漁っていると,わが国ではまとまった報告例がなかったが,若い女性で種々の精神的ショックから食欲不振をきたし,その持続が恐らく間脳に影響し無月経をきたすが回復可能と思われる神経性食思不振症(anorexia nervosa)という病気の記載を見いだした.問題は下垂体性のものとの鑑別方法が見当たらないことであった.
ところが英国誌"Lancet"などを漁っていると,わが国ではまとまった報告例がなかったが,若い女性で種々の精神的ショックから食欲不振をきたし,その持続が恐らく間脳に影響し無月経をきたすが回復可能と思われる神経性食思不振症(anorexia nervosa)という病気の記載を見いだした.問題は下垂体性のものとの鑑別方法が見当たらないことであった.
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