文献詳細
文献概要
今月の主題 骨髄移植 話題
造血幹細胞のin vitro増幅
著者: 高橋恒夫1 門脇絵実1 関口定美2
所属機関: 1北海道赤十字血液センター研究部 2北海道赤十字血液センター
ページ範囲:P.329 - P.332
文献購入ページに移動造血幹細胞および造血前駆細胞は,骨髄,臍帯・胎盤血,胎児肝に多く含まれるが,末梢血にもごくわずかではあるが存在する1)(表1).わが国における骨髄移植は骨髄移植推進財団が発足して以来,非血縁者間でこれまで約250名に行われている.一方,末梢血中の幹細胞は化学療法後一過性に動員され,顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor;G-CSF)の投与によりその数はさらに増大する.アフェレーシスによりこの幹細胞を集めて移植する自己末梢血幹細胞移植が進められてきている2,3).同種末梢血幹細胞移植を行うため,健常人へG-CSF単独あるいは顆粒球―マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte/macrophage colony-stimulating factor;GM-CSF),その他のサイトカインを組み合わせて投与し,末梢血へ幹細胞を動員する試みも行われている4,5).
最近注目されている臍帯・胎盤血には骨髄と同程度の造血幹細胞が含まれていることが知られており,より未熟なコロニー形成細胞(colony for-ming cells;CFC)であるmixedコロニー形成細胞(mixed-CFC)を多く含む6,7).臍帯血幹細胞移植は世界で60例近く施行され,最近日本でもその第1例が報告された(1994年11月).
掲載誌情報