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文献詳細

雑誌文献

臨床検査4巻11号

1960年11月発行

文献概要

技術解説

合成洗剤の進歩

著者: 柏一郎1 木村鎮1

所属機関: 1ライオン油脂株式会社研究部

ページ範囲:P.683 - P.688

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はしがき
 石鹸は洗剤としてはローマ時代から利用せられたということで極めて適当なものであつたが,原料的にまた性能的に一部欠点があるため万能とはいえなかつた。殊に性能上の欠点は弱酸(脂肪酸)の強アルカリ塩(苛性ソーダ)であるため繊維製品に対しての欠陥は致命的となり,すでに早くよりセンイ工業方面でロート油の発明となつて永くその欠点は補われていた。1916年頃第一次大戦時,ドイツでは食油の欠乏から工業用に動植物油脂の使用が禁止され,ここに初めて油脂を原料としないでブチールナフタリンを原料とした合成の洗剤が登場した。しかしこれは洗浄力が遙かに劣るため,大戦後は洗浄剤としての用途は消滅したが,これを機としてドイツを中心として合成洗剤の研究工業化は非常に活発となつて1930年頃には今日使用されている界面活性剤のほとんどが研究発明されたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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