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文献詳細

雑誌文献

臨床検査4巻12号

1960年12月発行

文献概要

技術解説

超薄切片の作り方

著者: 坂口弘1

所属機関: 1慶応大学病理学教室

ページ範囲:P.783 - P.791

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I.まえがき
 数年前迄は限られた一部の人が用いていた電子顕微鏡が「誤りを拡大するに過ぎない」などの批判を受けながらも今日の如く広く利用されるようになつたのは,これが形態学にとつて有力な研究方法であるからに他ならない。同時にかつては一部の研究者の特殊な技術,知識とされていたものが次第に普及し,やがて解剖学,病理学,細菌学あるいは臨床検査にたずさわる人々にとつて電子顕微鏡とはこんなもの,標本はこのようにして作るものということが常識となつてくるのも遠い先のことではない。先日ある技術者学校の関係者からこれからの技術者に何か特に希望をときかれた時,私は即座に超薄切片の作り方を教えて戴きたい。現在は2ヵ月で十分覚えられますからと答えておいた。数ヵ月もミクロトームにかじりつき数枚の切片を作り20枚足らずの電顕写真を得て躍り上つて喜んだ頃からまだ10年と経つていない。超薄切片法の発達と電子顕微鏡の普及はまことに素晴らしい。
 本文ではまず電子顕微鏡と光学顕微鏡の比較を簡単に述べ,電子顕微鏡を使用しての研究あるいは標本の作り方に関する一般的な事柄を書いてみた。標本の作り方としては代表的な超薄切片について記述したが,始めて超薄切片を作る人の手引の意味で,使用する薬品器具などの一覧表を作つてみた。これはわれわれが日常使用しているものを基にして列記したのであるが,標本の作り方は各人がいろいろ工夫しているので人によつて多少の差がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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