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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査4巻4号

1960年04月発行

雑誌目次

グラフ

遠心器の扱い方

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.201 - P.206

 遠心器にはいろいろの種類があるが,これは三基懸垂式といつて,もつとも普通の遠心器である。
 血清検査室で血清を分離するとき,血球を洗うとき,あるいは細菌検査室や生化学検査室でごく普通の操作をする場合は皆これで間にあう。
 大体【1/4】〜【1/2】馬力(HP)のモーターを具え,最高回転数は毎分4000回転(r.p.m)まで,容最は50cc×4が普通の性能である。遠心器のもつ遠心力は回転数の2乗と,回転軸からの距離に比例する。この力であらわした性能がもつとも正確なわけで,これらの遠心器は2000〜4000Gの性能をもつているものが多い。

流血中の癌細胞の検査法

著者: 田崎勇三

ページ範囲:P.207 - P.208

技術解説

ファージタイピングについて

著者: 岩原繁雄

ページ範囲:P.209 - P.214

 ファージタイピングについてなにか書くようにとの依頼があり引き受けてはみたが,この方面の研究を切りあげてからすでに4年ほどたつてしまつた今日,私の書いたものがどれほど皆さんの参考になるかはなはだ疑問である。しかし当時を振りかえつてみると,私のファージタイピング熱も一時は相当なものであつて,いろいろ苦労もし,経験した点も少くないので,それらを書き残すことによつて皆さんに対して何等かお役に立つことができれば幸いと考える次第である。
 ここでいうファージタイピングとはかなり広い意味に解釈していただきたい。つまりファージに対する感受性のちがいを利用して菌株間の差をあきらかにする方法をさすものとする。その代表的なものの1つは狭義のファージタイピングであり,もう1つはファージスクリーニングである。ファージタイピングは,菌株を細かく型別けしようという試みであつて,他の方法ではそれ以上細かく分類することができないばあいにも有効であることがある。一方ファージスクリーニングはある特定の菌だけを溶かすファージを用いて,たくさんの菌のなかから目的の菌をひろいだす方法である。

流血中の癌細胞の検査法

著者: 田崎勇三 ,   古江尚 ,   富永仁示 ,   高月英夫 ,   太田邦夫

ページ範囲:P.215 - P.221

緒言
 癌患者の末梢流血中には癌細胞が多数浮遊しているという事実は,特にPool及びDunlop12)による組織的検索が行われてから,幾つかの成績が発表されている。そしてかかる検索の方法は,他の細胞成分をできるだけ除却することが必要であり,また細胞を障害しないものでなければならない。その方法についてはすでに幾つか発表されており,それぞれ長所と短所とを具えているが,われわれは先ずこれらの検査法の主なものを幾つかのべて,次にこれらを整理,検討し,最後に癌細胞判定の基準について簡単にふれてみたい。

血中サルファ剤およびパスの定量

著者: 北村元仕 ,   有松芳子

ページ範囲:P.223 - P.229

 薬物の血中濃度測定が日常臨床検査として行われることは比較的少いが,それでもプロム剤,バルビツール製剤,サリチル酸,サルファ剤などは臨床的にしばしばその測定が要求される。
 このうちサルファ剤についていえば抗菌剤としての効果判定のため,抗生物質の感性試験と並んでその体液濃度の測定は臨床的にしばしば大切である。抗生物質を合理的に使用するために感性試験を行い,また結核化学療法剤の適正な使用のために耐性検査を行うことは今日すでに常識であるが,サルファ剤に対してはそのような配慮が極めて少い。それはもちろん,ペニシリンに端を発する抗生物質の華々しい登場とそれに引続く数多の優秀な抗生剤の普及によつてサルファ剤が治療面で以前ほど重要な役割を演じなくなつたことが第一の理由である。けれども,一方,ペニシリンシヨツクを始めとする抗生物質の重篤な副作用,あるいは厄介な耐性獲得の問題がクローズアツプされるとともに,このような問題の比較的少い安価なサルファ剤,とくにサルファイソキサゾールなどいわゆる高級サルファ剤の有効性が再検討されるに至り,その結果現在ではサルファメトキシピリダジン,サルファジメトキシン,サルファイソメゾールなどの持続性(長時間作用性)サルファ剤が相ついで市販されるに及んだ。

座談会

遠心器の使い方

著者: 原一郎 ,   佐久間栄二 ,   三富啓次 ,   松村義寛 ,   天木一太 ,   松橋直 ,   高橋昭三 ,   樫田良精

ページ範囲:P.230 - P.242

取扱い上注意すべきこと
 樫田 遠心器は,今日病院の検査室や,研究室には沢山あつて,いろいろな目的で使われています。しかし,取り扱いが悪いと,器械がこれわる。最近では,かなり高速の遠心器ができておりまして,まかりまちがえば,ふたが飛んだり,物が飛びちつたりするということは危険性があるわけです。器械を大事にいつも能率よく使うために,取り扱いを中心にしたいろいろなお話をいたしましよう。佐久間さん,まずこれだけは是非心得ていなければいけないということからまとめてお話し下さい。

『医学常識』

消化器のはなし(2)

著者: 鈴木秀郎

ページ範囲:P.245 - P.249

 先月号では消化器の構造と機能,さらに消化器がおかされたときのいろいろな症状についてのべました。今月は消化器疾患の検査法と消化器の病気のはなしをします。

海外だより

素人のみたMedical Record Room, Central Supplyなど—1月18日ボストンにて

著者: 小酒井望

ページ範囲:P.249 - P.250

 私は「臨床検査室の管理」を勉強に来たわけですが,少し長く滞在する病院では,Medical Record Ro-om, Central Supplyなど病院の弛の部門をなるべく多く見学させてもらうようにしています。理窟は,病院における臨床検査部門の機能を理解するためには,病院全体の機能を理解しなければならない,というわけですが,そんな理窟はどうでもよいでしよう。
 国立東京第一病院では,数年前から入院患者の病歴だけは中央化されており,これが東一の自慢でもあるわけですが,こちらの病院の病歴室と比べたら全くお話になりません。第一外来の病歴が一つになつていないのでは完全な中央化とはいえないでしよう。

第7回2級臨床病理技術士資格認定試験について—受験者のみなさんに

著者: 緒方富雄

ページ範囲:P.253 - P.257

 2級臨床病理技術士資格認定試験は,今年も7月半ばに第7回の試験が予定通り行われます。この試験は過去6年間にかがやかしい実績をあげ,その声価はゆるぎないものであります。
 今回の受験者のみなさんも,この試験の意義を十分に理解して,優秀な成績をあげられるよう期待します。

臨床検査メモ

臨床化学分析談話会抄録

著者: 丹羽

ページ範囲:P.258 - P.259

血清コレステロール測定はビタミンAの影響を受ける
 最近Zlatkis等の方法1)或はその変法を用いて血清総コレステロールを定量することが盛に行われているが,この方法では血清中のビタミンAの影響を受けて高い値が出るという文献があつたので御参考までに紹介する。
 Ktnley-Krause2)は5名の患者についてCarr-Price法で血清ビタミンAを定量したところ,28〜55μg/dlであり,大体成書記載の値に一致していた。次いでその血清中総コレステロールの値を上記Zlatkis等の方法及び,Schönheimer-Sperry法で測つたが両方法による値は良く一致していた。然し血清100mlにつき30,120〜150μgのビタミンAを添加して測つた場合,Zlatkis等の方法では夫々10〜15,100〜200mg血清総コレステロール値が高く出た。後者のSchönheimer-Sperry法では150μgビタミンAを添加しても殆んど血清総コレステロール値は無添加の場合と同様であつた。これは恐らくShönheimer-Sperry法ではジギトニンを使用してコレステロールを沈澱させるため,ビタミンAと分雛することが出来るためであろう。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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