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文献詳細

雑誌文献

臨床検査4巻8号

1960年08月発行

文献概要

技術解説

バリストカルジオグラフ

著者: 北田茂1 中村芳郎2

所属機関: 1済生会神奈川県病院内科 2慶応義塾大学医学部内科

ページ範囲:P.465 - P.471

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I.緒言
 人が体重計にのつた時,心臓の拍動につれて体重計の針が,規則正しく振動するのに気付いた人は多いであろう。これを実際に記録し,この運動を測定しようと試みたのが,J.W.Gordon1)(1887)で,バリストカルジオグラフィーのはじまりである。Ballisticsとは弾道学のことで,心臓の活動・それにともなう血液の駆出・血管内の血液の通過に関連して身体に伝わる運動を時間の経過と共にグラフにあらわす方法がバリストカルジオグラフィーで,心弾図法又はバリスト法とも言う。
 Gordonは,体重計の針で図形を描かせ,後,改良形式として軽いテーブルを架柱から4本の針金で吊した装置を使用した。その後,地震計を利用した方法等も考案されたが,バリスト法に物理学的考察を加えたのはE.Abramson(1933)2)で,記録装置の固有振動数と人体のそれとは隔たる可きと考え,装置の改良を行つた。又,彼はさらに分時心搏出量を算出しようとして公式を考えてもみた。しかし,バリスト法を急速に進歩させたのは,Isaac Starr3)の功績によるものである。彼はHigh frequency tableを作製し,人体とテーブルで構成する振動系の物理学的特性を研究し,それから得られる記録にBallistocardiogram(バリスト波形又は心弾図)の名称を与えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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