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雑誌目次

雑誌文献

臨床検査40巻1号

1996年01月発行

雑誌目次

今月の主題 検査室の安全管理

巻頭言

検査室の安全管理の本質

河合 忠

pp.5-6

 臨床検査室にはさまざまな病的検査材料が持ち込まれるし,さまざまな病気を持った多くの患者が検査のために来室する.そのほかに,院内のあらゆる職種の医療関係者が出入りするし,院外からは医療関係企業職員が出入りし,ときには医療とは関係ない来客も少なくない.したがって,検査室が危険性の元凶となりうることはもちろんであるが,他方では検査室内勤務者の安全性も十分に配慮しなければならない.

 臨床検査室にもっとも特徴的な問題は,感染性微生物またはそれにより汚染された生体と検査材料を取り扱うことである.したがって,感染性微生物については,その危険性の度合から,通常次の4群に分けて対処する.

安全管理推進のためのガイドライン

CAP, NCCLS提案の解説

高橋 正宜

pp.7-10

 検査室では,危険性のある化学物質や肝炎などの感染性物質の存在が疑われる検査試料などが取り扱われるため,そこで働く人の安全が重視されなくてはならない.

 NCCLSでは,配慮すべき種々の課題を標準書として示している.この標準書には,日常の点検・確認や起こってしまった災害への具体的対応も記載されている.管理する側だけではなく,各検査担当者も安全管理事項について理解し,安全に検査を実施するための条件を順守することが不可欠である.〔臨床検査 40:7-10,1996〕

バイオハザートとその対策

検体検査の業務感染

山根 誠久

pp.11-15

 検体検査にかかわる業務感染では,血液を介する感染とエーロゾル吸入による結核の2つがもっとも大きな問題である.前者は生化学検査室,血液検査室で,後者は病理検査室と細菌検査室でその危険性が高い.血液を介する感染では,既知の微生物に限定せず,すべての検体は感染微生物を含むという認識で取り扱う必要がある.結核菌対策では,エーロゾルの発生に注意し,生物学的安全キャビネットを正しく使用することである.〔臨床検査 40:11-15,1996〕

生理機能検査の感染管理

山本 誠一

pp.17-22

 感染管理に必要な消毒・滅菌法の基本的事項および生理機能検査の感染管理の現状について解説した.生理機能検査は患者に直接検査を行うため,まず患者に感染事故が起こらないように細心の注意が必要である.また,検者も感染事故を起こさないよう注意する.

 感染事故坊止には,特に次の2点が大切である.①臨床側から患名情報(肺結核,MRSA,肝炎ウイルスなどの有無)を提供してもらう.②検査担当技師自身が消毒・滅菌法および感染性廃棄物処理について正しい基本的な知識を習得して,"感染事故を起こしはならない"という意識を持って検査に取り組むことである.〔臨床検査 40:17-22,1996〕

病理解剖

長嶋 洋治 , 井上 達

pp.23-26

 特殊感染症例に対する考え方を感染源対策,汚染防護,汚染除去の3点に分けて記述し,実例として横浜市立大学医学部における取り組みの現状を概説した.剖検施設の建設と運用に当たってはハード・ソフト両面の充実が不可欠である.各施設の実状に合わせたマニュアルの作成とその遵守が求められる.〔臨床検査40:23-26,1996〕

感染性廃棄物の適正処理

松本 昭一郎

pp.27-33

 医療関係機関などから排出される感染性廃棄物は,"廃棄物処理法"の改正により"特別管理廃棄物"に規定された.これに基づく厚生省の"感染性廃棄物処理マニュアル"に則って適正に処理しなければならない."特別管理産業廃棄物管理責任者"を置き管理体制を強化する必要が生じ"医療監視"の対象となった.委託基準も強化され,業者も"特別管理産業廃棄物"の許可が必要になりマニフェストの使用が義務付けされた.〔臨床検査 40:27-33,1996〕

安全管理と緊急対策

危険・有害物質の安全管理

吉良 尚平 , 武田 和久

pp.35-42

 今日の検査室,実験室で使われている化学物質の安全管理には,①危険・有害情報を入手して取り扱いに十分注意することが重要であること,②検査室,実験室で使用される化学物質については,作業者の健康管理の観点から,使用する物質の特性に基づいた対策が必要であること,③使用後の廃棄物については分別回収に努める必要があること,を中心に述べた.〔臨床検査 40:35-42,1996〕

機器・設備の安全管理 1.電気設備の安全管理―生理検査機器

小野 哲章

pp.43-48

 検査室での電気的安全問題は,電撃問題を中心に,電磁障害,停電問題など多様である.

 電撃問題では,検査室にも心臓直接適用機器を装着した患者が出入りするようになり,ミクロショック事故の可能性も出てきたので,より安全なCF形機器の導入と取り扱い上の特別な配慮が必要になってきている.安全基準の理解と安全対策の実践が必要である.

 この他,いくつかの起こり得る事故例とその対策を,実際例に即して解説する.臨床検査技師もこれらの安全対策の実践のために,工学的な知識と技術が要求される時代に入っていることを認識すべきである.〔臨床検査 40:43-48,1996〕

機器・設備の安全管理 1.電気設備の安全管理―検体検査機器

久保野 勝男

pp.49-52

 検査室においてはさまざまな検体検査機器を使用するが,検査機器の進歩とともに大型の自動分析装置など電気設備としても大きなものが導入されてきている.これらの電気器を安全に使用することは,良質な医療を行うための総合精度管理に基づく検査室の運用において,感染予防とともに安全管理の重要な事項である.検査室に従事する者は,電気に関する安全管理を理解し,定期的な保守点検の実施を行うことを心がけたい.〔臨床検査 40:53-56,1996〕

機器・設備の安全管理 2.RI検査の安全管理

阿部 良彦 , 広井 直樹 , 宮地 幸隆

pp.53-57

 放射能を利用する以上は,正しい放射能の取り扱い方法を修得し不必要な放射能の被曝を避けなければならない.医療で使用される放射性医薬品(非密封放射性同位元素)は,診断目的としてラジオイムノアッセイに核種として125Iが主に使用され,in vivo検査に99mTc,133Xeなどの短半減期核種が用いられる.以下には"RI検査の安全管理"について非密封放射性同位元素の安全な取り扱い方法と放射性物質により汚染された際の除去方法を中心に解説する.〔臨床検査 40:53-57,1996〕

作業災害と緊急対策

森 雄一

pp.58-64

 作業災害は,日常業務に数多く伏在している.検査の作業中,急に後ろを振り向いた拍子に,脇を通ろうとした技師が持っていた器具に,顔面が激突して裂傷を負ったという事故もある.予測されない急激な動作の変化や,わずかな段差につまずいて転倒するなどの労働災害は少なくない.今日,マニュアルを完備した検査室がほとんどである.作業管理も行き届いてはいる.しかし,作業環境がすべて問題がないわけではない.また,地震や火災に遭遇することもまれではあるが皆無ではない.事故や災害発生時の処置と対策について述べる.〔臨床検査 40:58-64,1996〕

付:保護具の種類と用途

本多 紗絵

pp.65-68

 白衣をはじめとする個人が身に着ける保護具は,作業担当者が感染性物質や有害化学物質などに接触するのを防ぎ,熱,あるいは電気その他の物理的要因からも守る機能も有している.保護具の必要性や種類は,作業内容の規模や危険性によって変わるものであるが,もっとも重要なことは保護具を使用することの理由を作業担当者自身が強く認識し,使用方法や維持管理についても適切に実行することである.

 保護具の選定に当たっては,対象とする危険物に合わせること,作業内容に合わせることを第一の留意点とすることが望ましい.〔臨床検査 40:65-68,1996〕

コーヒーブレイク

北の国から

屋形 稔

pp.57

 テレビで永い間単発的に続いている"北の国から"はいつも見応えがあり,芸達者の俳優たちも時とともに年輪を重ねている.先日見た新作では宮沢りえが初登場し,名前の順序が駄目なんていわないで重要な役をこなしていた.この人は流石に感性が抜群で魅了するものがあり,恋人を待つ喫茶店のシーンなどはよく雰囲気が出ていた.喫茶店は北海道には多いのかいろんな映画によく出てくるが,札幌の喫茶店には1つの思い出がある.

 7年ぐらい前に講演会で訪れたとき,昔新潟の検査室に勤務していた北海道生まれのO技師が札幌でご主人と喫茶店をやっていると札幌医科大学のS先生が場所を教えてくれた.十数年ぶりで電話してみたら今日は休みだが懐かしいからと店で会う約束をしてくれた.少し時間があって待っているうちに数日前からの咳漱が激しくなり,発熱してきたので切角の約束を反古にしてホテルへ帰ってしまった.マイコプラズマ肺炎と判ったが何となく申訳なく後まで心残りになった.この方は技師としても高レベルの方で本誌で編集部のOさんとの対談に登場したこともあった.Oさんもあの頃は若くて張り切っており,いい取材になったようであった.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編

遺伝子診断の現状

河合 忠

pp.69-72

 今回から新しく遺伝子診断に関する最新医学講座をシリーズで連載することになりました.分子生物学の著しい進歩により,医学の研究分野のみならず,日常診療分野にも広く遺伝子診断技術が利用され始めています.すでに,保険診療にも一部の遺伝子検査が適用になっており,臨床検査室で遺伝子検査が日常的に実施されるのもそう遠い将来ではありません.本シリーズでは,Technology編(技術編)とApplication編(応用編)に分けて,日常診療に関係する課題を各論的に取り上げて行きますのでご期待下さい.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

DNA, RNAの抽出

舩渡 忠男 , 大川 淳雄

pp.73-77

はじめに

 近年,遺伝子工学技術の進歩により遺伝子解析手法が発展し,各種疾患における病因遺伝子の同定が可能となってきた.そのなかで,遺伝子検査の普及は核酸(DNA, RNA)抽出技術の簡便化に負うところが大きい.従来,遺伝子解析のための核酸抽出法は成書1)に基づき研究室レベルで行われてきたが,現在では20種以上に及ぶ核酸抽出の簡易キットが市販されるようになった.現在それらのいずれかを用いて遺伝子検査が行われているのが現状である.したがって,今後遺伝子検査を検査室に導入するに当たっての核酸抽出法の検討は重要な意味を有すると考えられる.すなわち,その選択および使用に当たっては最善の注意を要するといえる.そこで今回,各種核酸抽出キットの使用経験から,それらの使用法と問題点とを取り上げ,問題解決に向けての方法を述べる.

トピックス

エンドトキシンによるプログラム細胞死(アポトーシス)

加藤 豊 , 横地 高志

pp.79-80

 生体内では,恒常性を維持するために次々と新しい細胞が生産され,一方で不要となった細胞が死んでいる.このときの細胞の死に方は,例えば,怪我をしたときの傷口にみられるような細胞の死に方とは異なった特徴を有している.前者をプログラム細胞死(アポトーシス),後者をアクシデント細胞死(ネクローシス)と呼び,特にアポトーシスは,生体の恒常性の維持のために必要不可欠の現象として近年注目を集めるようになってきた.

 エンドトキシン(内毒素)はグラム陰性桿菌が菌体外膜に持つ糖脂質であり,臨床的には,エンドトキシンショックの原因物質として重要である.しかし,このエンドトキシンがアポトーシスの誘導因子であることが明らかになったのはつい最近のことである1).エンドトキシン自体はアポトーシスを惹起することはないが,エンドトキシンを生体に投与した場合,多相多様の生体防御機構が働き,結果として各種の臓器に通常ではみられないアポトーシスが惹起される.

イムノアッセイに干渉するイムノグロブリン

橋本 琢磨

pp.80-82

 近年イムノアッセイは,化学発光や蛍光を用いた第3世代の測定法に改良され,感度,精度が著しく向上してきたが,新たな問題が生じてきた.それは異型抗体による測定値への影響である1-3)

 これら異型抗体(human anti-murine antibodi-es;HAMA)は種特異性がなく,種々の動物イムノグロブリンと結合するのでなかなか難しい問題である.異型抗体はTSH, LH, FSHなど下垂体ホルモンやCEA, CA 19-9, CA 125などの腫瘍マーカー,さらにHBAb, HBAgなどのウイルス抗体の測定においてしばしばみられる.表1に異型抗体の頻度を示す.報告者によって大きなバラツキがみられるが,それはキットに用いられた動物の違い,さらにキットの品質によるところが大きい.われわれの経験によれば,試薬メーカーの技術が良ければ,HAMAの影響は最小限に抑えることが可能である.例えば,AIA-1200を用いた東ソーのTSHキットは1994年7月の時点ではHAMAの影響を強く受けていた4).しかし,その事実を指摘すると,わずか6か月でHAMAの影響を受けない試薬に改良した(表2).他社のキットは影響を受けるままになっているのに対し,現在市販の東ソーTSHキットはそれがないので安心して使用することができる.

"Managed care"―試練に立つアメリカの医療―第47回米国臨床化学会に参加して

加野 象次郎

pp.82-85

 1995年7月16日から20日まで,ロスアンゼルス近郊のアナハイムで開かれた米国臨床化学会の第47回大会に参加する機会があり,そこで,"Managed care"という日本ではあまり聞き慣れない言葉が氾濫し,アメリカの医療が大きな変革の波に洗われていることを知った.国の事情も医療保障の制度も日本とは異なるが,決して他岸の火事と捨て置けない問題のようでもあるので,学会を通してみたManaged careについて紹介してみたいと思う.

 アナハイムと言えば,アメリカ文化の象徴ともいうべきディズニーランドで有名であるが,会場のコンベンションセンターはそのディズニーランドとは道路1つ隔てたところにある,といっても,それは地図の上でのこと.日本と違って街区の規模がケタ外れに大きいここでは,遥かかなたにマッターホルンマウンテンらしきものが見えて,ミッキーやミニーの世界の存在を知るというわけだ.学会の会期中の17日は,たまたまディズニーランド開設四十周年にあたり,特別に賑わったようで,街には,しばし夢と冒険の世界にひたってきたと思われるhappy familyのほほえましい姿も散見された.梅雨の明けきらぬ東京から飛んでくると,微塵の湿度も感じさせないこの南カリフォルニアの澄みきった青空と溢れんばかりの陽光には,ただただ圧倒されるばかりであった.

質疑応答 検査機器

Surface Plasmon Resonanceの原理と臨床検査への応用

田中 孝治 , N男

pp.86-87

 Q 差動型Surface Plasmon Resonanceについて原理と臨床検査への応用を教えて下さい.

質疑応答 その他

デジタルスチルカメラの利用

鹿島 哲 , K夫

pp.87-91

 Q デジタルカメラが手に入るようになりましたが,その原理とともに利用法を具体的に教えてください.

研究

定量法を含めた便潜血検査法の現状と問題点

新井 智子 , 塚田 敏彦

pp.93-99

 定性法2種,定量法3種の便潜血測定試薬について,患者便・疑似便・溶血液を測定して各測定法を比較検討した.全測定法を定性レベルの判定結果でみると,キットによって実便検体の陽性率に明らかな差が認められた.採便量の影響を反映する疑似便検体とその影響を受けない溶血液検体の判定結果には大差はなく,カットオフ値との判定のズレは定量法・定性法ともに,作製した倍々希釈系列の1ランク程度であった.定量法で,溶血液検体の測定値を理論値と比較すると,3~5割のズレが認められ,キャリブレーションのありかたに問題があると思われた.また現在主流となっているng/ml単位は,採便量と採便容器中の緩衝液量によって値が変化するため,統一単位として使用できるμg/g便に改正すべきである.採便量の問題を除いて,少なくとも定量法では存在するHbを正確に測定するための改良が必要と思われた.

特定酵素基質培地法(MMO-MUG法)を使用した飲料水中の大腸菌群検査

木村 智子 , 肥留川 仁志 , 山口 マリ子 , 大道 正義 , 長谷川 修司

pp.101-104

 大腸菌群の上水試験方法として特定酵素基質培地法(以下MMO-MUG法)が新たに加わった.そこで飲用井戸水など(1,548件)を対象とし,MMO-MUG法と従来のLB-BGLB法の比較検討を行った.陽性率はMMO-MUGでは38.6%,LB-BGLB法では18.0%,成績一致率は77.8%であった.両法の結果が不一致の場合には菌の分離,同定を行った.その結果,MMO-MUG法は迅速,簡便で検出率が高いという成績が得られた.

資料

QBCマラリア診断装置の使用経験

吉田 定信

pp.105-107

 米国Becton Dickinson社製QBC malaria diagnosissystem®は,quantitative buffy coat(QBC®)analsisを応用し未梢血液中のマラリア原虫をアクリジンオレンジ(acridine orange)で直接蛍光染色する診断装置である.マラリアの診断において本検査法は特に低パラサイテミアの診断に有効であり,血液塗抹標本検査との併用においてマラリアの診断精度が向上する.本稿では装置の概要について紹介する.

採血管自動準備装置・システム

今野 稔

pp.109-112

 新病院の開院を契機に,看護部の要請もあり,病棟などに検査前日にバーコードラベルを貼付した真空採血管を検査部が準備して配布するための"採血管自動準備装置・システム"を考案・開発した.院内オーダーリングシステムと連携させて,事前に予約入力された検査依頼精情報に基づき採血管を準備し配布できるようにした.これにより看護婦の荷重を軽減し,採血過誤を抑止し,検査室の全自動化システムの構築が可能となった.

学会だより 第7回アジア太平洋臨床化学会議

白象の国で開かれたAPCCB/肩の力の抜けた運営で

戸谷 誠之

pp.113-115

 第7回アジア太平洋臨床化学会議(APCCB)が1995年9月17日から22日までの会期で,タイの首都バンコックのセントラルプラザホテルと隣接する国際会議場で開催された.これは3年前の神戸における同学会に続く開催となった.

今月の表紙 表在性真菌症の臨床検査シリーズ

皮膚カンジダ症―1.直接鏡検および分離・鑑別培養

山口 英世 , 内田 勝久 , 楠 俊雄

 不完全酵母の最大の属genusとして知られるCandida (属)には,C.albicansをはじめとしてヒト病原性を持つ菌種が多数含まれ,深在性ならびに表在性の感染症(カンジダ症)の原因菌となっている.表在性カンジダは,皮膚カンジダ症と粘膜(口腔,腟など)カンジダ症とに大別される.深在性カンジダ症についてはC.tropicalis, C.Par-apsilosis, C.glabrataなどのnon-albicans Can-didaに起因する症例が近年増加する傾向にあるが,皮膚カンジダ症や口腔カンジダ症は依然としてC.albicansによるものが圧倒的に多い.

 深在性カンジダ症の診断,特に早期診断がしばしば困難をきわめることとは対照的に,表在性カンジダ症は比較的容易に診断することができる.その場合,臨床所見と合わせて,患部から採取した検体中にCandidaを証明することが不可欠となる.C.albicansなどはヒトの常在菌として健常人にも高率に存在するので,分離培養するだけでは不十分であり,必ず直接鏡検を行わなければならない.その結果,酵母形細胞に混って真性菌糸または仮性菌糸が観察されれば,本症の診断はほぼ確実となる(図1).共生菌として常在する場合には,ほとんど菌糸形をとらないからである.直接鏡検用の標本は,KOH法,パーカーインク・KOH法などによって作製する。

基本情報

臨床検査

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1367

印刷版ISSN 0485-1420

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バックナンバー

64巻12号(2020年12月発行)

今月の特集1 血栓止血学のトピックス—求められる検査の原点と進化
今月の特集2 臨床検査とIoT

64巻11号(2020年11月発行)

今月の特集1 基準範囲と臨床判断値を考える
今月の特集2 パニック値報告 私はこう考える

64巻10号(2020年10月発行)

増刊号 がんゲノム医療用語事典

64巻9号(2020年9月発行)

今月の特集1 やっぱり大事なCRP
今月の特集2 どうする?精度管理

64巻8号(2020年8月発行)

今月の特集1 AI医療の現状と課題
今月の特集2 IgG4関連疾患の理解と検査からのアプローチ

64巻7号(2020年7月発行)

今月の特集1 骨髄不全症の病態と検査
今月の特集2 薬剤耐性カンジダを考える

64巻6号(2020年6月発行)

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例

64巻5号(2020年5月発行)

今月の特集1 中性脂肪の何が問題なのか
今月の特集2 EBLM(evidence based laboratory medicine)の新展開

64巻4号(2020年4月発行)

増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見

64巻3号(2020年3月発行)

今月の特集1 Clostridioides difficile感染症—近年の話題
今月の特集2 質量分析を利用した臨床検査

64巻2号(2020年2月発行)

今月の特集1 検査でわかる二次性高血圧
今月の特集2 標準採血法アップデート

64巻1号(2020年1月発行)

今月の特集1 免疫チェックポイント阻害薬—押さえるべき特徴と注意点
今月の特集2 生理検査—この所見を見逃すな!

63巻12号(2019年12月発行)

今月の特集1 糖尿病関連検査の動向
今月の特集2 高血圧の臨床—生理検査を中心に

63巻11号(2019年11月発行)

今月の特集1 腎臓を測る
今月の特集2 大規模自然災害後の感染症対策

63巻10号(2019年10月発行)

増刊号 維持・継続まで見据えた—ISO15189取得サポートブック

63巻9号(2019年9月発行)

今月の特集1 健診・人間ドックで指摘される悩ましい検査異常
今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症

63巻8号(2019年8月発行)

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

63巻7号(2019年7月発行)

今月の特集1 造血器腫瘍の遺伝子異常
今月の特集2 COPDを知る

63巻6号(2019年6月発行)

今月の特集1 生理検査における医療安全
今月の特集2 薬剤耐性菌のアウトブレイク対応—アナタが変える危機管理

63巻5号(2019年5月発行)

今月の特集1 現在のHIV感染症と臨床検査
今月の特集2 症例から学ぶフローサイトメトリー検査の読み方

63巻4号(2019年4月発行)

増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ

63巻3号(2019年3月発行)

今月の特集 血管エコー検査 まれな症例は一度みると忘れない

63巻2号(2019年2月発行)

今月の特集1 てんかんup to date
今月の特集2 災害現場で活かす臨床検査—大規模災害時の経験から

63巻1号(2019年1月発行)

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今月の特集2 筋疾患に迫る

62巻5号(2018年5月発行)

今月の特集1 肝線維化をcatch
今月の特集2 不妊・不育症医療の最前線

62巻4号(2018年4月発行)

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック

62巻3号(2018年3月発行)

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今月の特集2 実は増えている“梅毒”

62巻1号(2018年1月発行)

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今月の特集2 がん分子標的治療にかかわる臨床検査・遺伝子検査

60巻12号(2016年11月発行)

今月の特集1 血液学検査を支える標準化
今月の特集2 脂質検査の盲点

60巻11号(2016年10月発行)

増刊号 心電図が臨床につながる本。

60巻10号(2016年10月発行)

今月の特集1 血球貪食症候群を知る
今月の特集2 感染症の迅速診断—POCTの可能性を探る

60巻9号(2016年9月発行)

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今月の特集2 臨床検査領域における次世代データ解析—ビッグデータ解析を視野に入れて

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今月の特集2 百日咳,いま知っておきたいこと

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今月の特集2 感度を磨く—検査性能の追求

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今月の特集2 感染症診断に使われるバイオマーカー—その臨床的意義とは?

60巻3号(2016年3月発行)

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今月の特集2 smartに実践する検体採取

60巻2号(2016年2月発行)

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今月の特集2 実践に役立つ呼吸機能検査の測定手技

60巻1号(2016年1月発行)

今月の特集1 社会に貢献する臨床検査
今月の特集2 グローバル化時代の耐性菌感染症

59巻13号(2015年12月発行)

今月の特集1 移植医療を支える臨床検査
今月の特集2 検査室が育てる研修医

59巻12号(2015年11月発行)

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今月の特集2 腹部超音波を極める

59巻11号(2015年10月発行)

増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ

59巻10号(2015年10月発行)

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59巻9号(2015年9月発行)

今月の特集1 乳腺の臨床を支える超音波検査
今月の特集2 臨地実習で学生に何を与えることができるか

59巻8号(2015年8月発行)

今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
今月の特集2 感染症サーベイランスの実際

59巻7号(2015年7月発行)

今月の特集1 検査と臨床のコラボで理解する腫瘍マーカー
今月の特集2 血液細胞形態判読の極意

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今月の特集1 日常検査としての心エコー
今月の特集2 健診・人間ドックと臨床検査

59巻5号(2015年5月発行)

今月の特集1 1滴で捉える病態
今月の特集2 乳癌病理診断の進歩

59巻4号(2015年4月発行)

今月の特集1 奥の深い高尿酸血症
今月の特集2 感染制御と連携—検査部門はどのようにかかわっていくべきか

59巻3号(2015年3月発行)

今月の特集1 検査システムの更新に備える
今月の特集2 夜勤で必要な輸血の知識

59巻2号(2015年2月発行)

今月の特集1 動脈硬化症の最先端
今月の特集2 血算値判読の極意

59巻1号(2015年1月発行)

今月の特集1 採血から分析前までのエッセンス
今月の特集2 新型インフルエンザへの対応—医療機関の新たな備え

58巻13号(2014年12月発行)

今月の特集1 検査でわかる!M蛋白血症と多発性骨髄腫
今月の特集2 とても怖い心臓病ACSの診断と治療

58巻12号(2014年11月発行)

今月の特集1 甲状腺疾患診断NOW
今月の特集2 ブラックボックス化からの脱却—臨床検査の可視化

58巻11号(2014年10月発行)

増刊号 微生物検査 イエローページ

58巻10号(2014年10月発行)

今月の特集1 血液培養検査を感染症診療に役立てる
今月の特集2 尿沈渣検査の新たな付加価値

58巻9号(2014年9月発行)

今月の特集1 関節リウマチ診療の変化に対応する
今月の特集2 てんかんと臨床検査のかかわり

58巻8号(2014年8月発行)

今月の特集1 個別化医療を担う―コンパニオン診断
今月の特集2 血栓症時代の検査

58巻7号(2014年7月発行)

今月の特集1 電解質,酸塩基平衡検査を苦手にしない
今月の特集2 夏に知っておきたい細菌性胃腸炎

58巻6号(2014年6月発行)

今月の特集1 液状化検体細胞診(LBC)にはどんなメリットがあるか
今月の特集2 生理機能検査からみえる糖尿病合併症

58巻5号(2014年5月発行)

今月の特集1 最新の輸血検査
今月の特集2 改めて,精度管理を考える

58巻4号(2014年4月発行)

今月の特集1 検査室間連携が高める臨床検査の付加価値
今月の特集2 話題の感染症2014

58巻3号(2014年3月発行)

今月の特集1 検査で切り込む溶血性貧血
今月の特集2 知っておくべき睡眠呼吸障害のあれこれ

58巻2号(2014年2月発行)

今月の特集1 JSCC勧告法は磐石か?―課題と展望
今月の特集2 Ⅰ型アレルギーを究める

58巻1号(2014年1月発行)

今月の特集1 診療ガイドラインに活用される臨床検査
今月の特集2 深在性真菌症を学ぶ

57巻13号(2013年12月発行)

今月の特集1 病理組織・細胞診検査の精度管理
今月の特集2 目でみる悪性リンパ腫の骨髄病変

57巻12号(2013年11月発行)

今月の特集1 前立腺癌マーカー
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査②

57巻11号(2013年10月発行)

特集 はじめよう,検査説明

57巻10号(2013年10月発行)

今月の特集1 神経領域の生理機能検査の現状と新たな展開
今月の特集2 Clostridium difficile感染症

57巻9号(2013年9月発行)

今月の特集1 肺癌診断update
今月の特集2 日常検査から見える病態―生化学検査①

57巻8号(2013年8月発行)

今月の特集1 特定健診項目の標準化と今後の展開
今月の特集2 輸血関連副作用

57巻7号(2013年7月発行)

今月の特集1 遺伝子関連検査の標準化に向けて
今月の特集2 感染症と発癌

57巻6号(2013年6月発行)

今月の特集1 尿バイオマーカー
今月の特集2 連続モニタリング検査

57巻5号(2013年5月発行)

今月の特集1 実践EBLM―検査値を活かす
今月の特集2 ADAMTS13と臨床検査

57巻4号(2013年4月発行)

今月の特集1 次世代の微生物検査
今月の特集2 非アルコール性脂肪性肝疾患

57巻3号(2013年3月発行)

今月の特集1 分子病理診断の進歩
今月の特集2 血管炎症候群

57巻2号(2013年2月発行)

今月の主題1 血管超音波検査
今月の主題2 血液形態検査の標準化

57巻1号(2013年1月発行)

今月の主題1 臨床検査の展望
今月の主題2 ウイルス性胃腸炎

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