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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査 血栓症の病態 2.血栓形成のしくみ

1)血栓症の実験モデル

著者: 居石克夫1

所属機関: 1九州大学医学部第1病理

ページ範囲:P.16 - P.21

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はじめに
 血管内の血液は,生理的には流動性が保たれているが,血管壁が損傷されるとその部に限局した止血血栓が形成され,その後,しばらくして,血栓の多くは融解もしくは器質化されて血流が再開される.この一連の反応過程に関与するのが凝固,線溶(線維素―フィブリン―溶解)系である.特に,この分野での最近の研究の進歩は,凝固系活性化因子とともに制御因子の分子構造と機能,およびそれら分子間相互反応が明らかになってきたことにある.とりわけ血管内皮細胞の機能を中心とした血液凝固の制御調節機構(抗血栓性特性)に関する分子レベルでの研究の進歩は目覚ましい.血管生物学の進歩と相まって,これらの研究成果により種々の血管病変の発生,進展ならびに修復機序における血液ならびに組織凝固の役割が分子レベルで理解されるようになってきた.
 本稿では,主に外因系凝固活性化の鍵となる組織因子(TF)の血栓症発生における病態学的意義について病理形態像を中心に概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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