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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査 血栓症の病態 2.血栓形成のしくみ

4)線溶系

著者: 岡田清孝1 松尾理1

所属機関: 1近畿大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.29 - P.32

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はじめに
 血液線溶系は血液凝固系の活性化によりフィブリノゲンから形成されたフィブリンを分解し,循環血液中からフィブリン(血栓)を除去する系である.このフィブリンを分解する線溶系因子は,その前駆体であるプラスミノゲンという状態で通常血液中を循環している.この前駆体はプラスミノゲンアクチベーター(PA)という酵素によってプラスミンというフィブリンを分解することのできるセリン酵素に活性化される.生体内に存在するPAには主に血管内皮細胞が生産・分泌する組織性PA (t-PA)と,主に腎細胞が生産・分泌するウロキナーゼ型PA (u-PAまたはUK)の2種類がある1).また,これらの線溶系酵素を阻害する因子としてPAに対してプラスミノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)が,プラスミンに対してα2-プラスミンインヒビター(α2-PI)が存在し,それぞれを制御している(図1).
 このように血液線溶系は活性化系と抑制系が存在し,生理的に両者のバランスで巧妙に制御されている.しかし,この活性化系の機能低下や抑制系の機能亢進が血栓傾向になり,活性化系の機能亢進や抑制系の機能低下が出血傾向をもたらすことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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