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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査 血栓症の病態 4.血栓傾向

2) APCレジスタンス

著者: 藤村博信1 上林純一2

所属機関: 1大阪大学医学部第二外科 2大阪大学医学部第二外科

ページ範囲:P.45 - P.47

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はじめに
 過去,さまざまな知見が集積するにつれて,先天性家族性血栓症の病態が明らかにされてきた.その中でも凝固制御系因子である,プロテインC,プロテインS,アンチトロンビンⅢの異常症は非常に重要な異常症であるが,その3つを合わせても患者のせいぜい10%程度の頻度しかなく,新たな血栓性素因の原因が捜索されていた.そのような状況下,1993年に新たな血栓症のリスクファクターとして,活性型プロテインCに対して先天的に抵抗性を持つ病態(APCレジスタンス)が,Dahlbäckら1)によって見いだされた.欧米の報告によるとその頻度は血栓症患者の20~60%,正常人の2~10%にみられるとされ,最も重要な血栓性素因とされる.また,APCレジスタンスの原因とされる遺伝子異常についても知見が集積されてきている.
 この稿では,最も新しくそして最も重要かつ高頻度と考えられる先天性血栓性素因であるAPCレジスタンスのプロテインC凝固制御系における病態,遺伝子異常によって生じると考えられる病態,およびその臨床病態を述べることとし,異常遺伝子の解析を含む臨床検査方法については別項に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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