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トロンボモジュリン欠損症
著者: 丸山征郎1
所属機関: 1鹿児島大学臨床医学部検査医学
ページ範囲:P.60 - P.60
文献購入ページに移動 トロンボモジュリン(thrombomodulin; TM)は血管内皮細胞上でトロンビンを凝固酵素から抗凝固酵素へと変換する1本鎖の糖蛋白である.すなわち血中で生じたトロンビンは強い親和性でTMと結合するが,TMと結合したトロンビンはフィブリノゲン→フィブリン転化活性,血小板活性化能,第Ⅴ,Ⅷ因子活性化能が消失し,逆にプロテインC (PC)活性化能が約1,000倍以上に増強される.活性化PCは活性化第Ⅴ,Ⅷ因子を分解し凝固阻害的に働く.したがってTMは血管内で血栓が生ずるのを防いでいる膜蛋白である.
したがってこのTMが先天的または後天的に減少すると血栓傾向となるのは容易に予想されることである.後天的にはエンドトキシン,IL-1,TNFがTMの発現を抑制する.これは感染症や敗血症,悪性腫瘍時のDICや血栓傾向の原因の1つと考えられる.またホモチスチン,酸化変性LDL,糖化蛋白などもTMの発現を抑制する.
したがってこのTMが先天的または後天的に減少すると血栓傾向となるのは容易に予想されることである.後天的にはエンドトキシン,IL-1,TNFがTMの発現を抑制する.これは感染症や敗血症,悪性腫瘍時のDICや血栓傾向の原因の1つと考えられる.またホモチスチン,酸化変性LDL,糖化蛋白などもTMの発現を抑制する.
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