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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

レオロジーと血管内皮細胞

著者: 川合陽子1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部

ページ範囲:P.64 - P.64

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 血管内皮細胞は絶えず血流にさらされ,血流が内皮細胞の機能維持に重要な役割を演じていることが近年明らかとなった.血流が内皮細胞に及ぼす血行力学的因子はずり応力"shear stress;SS"と呼ばれ,血流速度(v)と流れからの距離(1)で規定される速度勾配(dv/dl)と血液の粘性(μ)の両者によって生ずる.通常大動脈では10~20dynes/cm2,細小動脈では20dynes/cm2,静脈では1.5~6dynes/cm2のずり応力が内皮細胞に負荷されていると考えられている.かかるずり応力は内皮細胞の形態に影響を与え,ずり応力を負荷された内皮細胞は,血流の方向に紡錘状に配向変化するとともにストレスファイバーを形成する.
 ずり応力は内皮細胞の機能にも影響を与え,透過性・ピノサイトーシス・リポプロテインの取り込みの亢進の他,血管のトーヌスの調節にも重要な働きをしており,平滑筋を弛緩させ血管を拡張する血管内皮由来血管拡張物質(EDRF・NO)やPGI 2を,また血管収縮を起こすエンドセリン(ET-1)などの産生や放出を調節している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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