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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

PAI-2

著者: 新谷憲治1

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.72 - P.72

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 プラスミノゲンアクチベーターインヒビター2(PAI-2)は,Kawanoらにより胎盤中に発見されたプラスミノゲンアクチベーター(PA)に対する阻害物質(PAI)の1つで,現在では,単球,マクロファージ,ケラチノサイト,血管内皮細胞,線維芽細胞など多くの細胞に発現されていることが知られている.
 PAI-2は健康成人の血中に証明されず,PAI-Iに比べて生理的意義が乏しいとされてきたが,最近PAI-Iが酸化されると,そのPAI活性を失うのに反し,PAI-2は酸化抵抗性であることが報告され,PAI-2が炎症や免疫現象の反応の場での線溶制御に中心的役割を演じていると推定される.糖鎖を有する分子量60kDaのものと糖鎖のない47kDaのPAI-2が,U-937細胞より鈍化された.PAI-2は,Metから始まり,疎水性に富んだシグナルペチドを保持したまま成熟型となる特異な蛋白でchicken ovalbuminに最も近いホモロジーを示すserine protease in-hibitors(serpins)の一員である.PAI-2による,マクロファージ,好中球の機能を抑制作用,さらに移植片の拒絶反応の抑制作用なども観察されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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