文献詳細
文献概要
特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査 血栓症の検査 2.血液凝固系の検査
6) TAT
著者: 東原正明1 宮崎浩二2
所属機関: 1東京大学医学部第一内科 2東京大学医学部第一内科教室
ページ範囲:P.121 - P.122
文献購入ページに移動原理・測定意義
DICなど血管内に血栓が多発する疾患では,血管内にトロンビンが生成されている.このトロンビンは,①フィブリノゲンをフィブリンに変換する,②第V因子,第Ⅷ因子,第ⅩⅠ因子,第ⅩⅢ因子を活性化する,③血小板を活性化する,④血管内皮細胞を刺激するなどの生理活性を有していて,この血中のトロンビンを測定することは,凝固亢進状態,血栓傾向を示す大きな指標となる.しかしながら,トロンビンは,生体が備えている抗血栓性のメカニズムにより生成されても,すぐに中和されて直接測定することは困難である.この中和作用として,antithrombin Ⅲ(ATⅢ)との複合体形成,フィブリンへの吸着,トロンボモジュリンとの複合体形成,ヘパリン・コファクターⅡとの複合体形成が挙げられる.ATⅢは分子量58,000の糖蛋白で,heparin cofactor Ⅰとも呼ばれserpin (serine protease inhibitor) superfamilyに属し,血中濃度は約150mg/mlである.ATIIIとトロンビンとの複合体,thrombin-antithrombin complex(TAT)(1:1の等モル比結合)の形成は,以下のように進行することが明らかにされている.
DICなど血管内に血栓が多発する疾患では,血管内にトロンビンが生成されている.このトロンビンは,①フィブリノゲンをフィブリンに変換する,②第V因子,第Ⅷ因子,第ⅩⅠ因子,第ⅩⅢ因子を活性化する,③血小板を活性化する,④血管内皮細胞を刺激するなどの生理活性を有していて,この血中のトロンビンを測定することは,凝固亢進状態,血栓傾向を示す大きな指標となる.しかしながら,トロンビンは,生体が備えている抗血栓性のメカニズムにより生成されても,すぐに中和されて直接測定することは困難である.この中和作用として,antithrombin Ⅲ(ATⅢ)との複合体形成,フィブリンへの吸着,トロンボモジュリンとの複合体形成,ヘパリン・コファクターⅡとの複合体形成が挙げられる.ATⅢは分子量58,000の糖蛋白で,heparin cofactor Ⅰとも呼ばれserpin (serine protease inhibitor) superfamilyに属し,血中濃度は約150mg/mlである.ATIIIとトロンビンとの複合体,thrombin-antithrombin complex(TAT)(1:1の等モル比結合)の形成は,以下のように進行することが明らかにされている.
掲載誌情報