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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査 血栓症の検査 2.血液凝固系の検査

10)組織因子

著者: 中村伸1

所属機関: 1京都大学霊長類研究所分子生理

ページ範囲:P.131 - P.134

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はじめに
 組織因子(tissue factor;TF)は図1に示すように,細胞表面に発現されるレセプター様因子で,このTFに血中のⅦ因子が特異的に結合することで,図2に示す凝固反応系のカスケードが駆動される.
 最近,血中にTFの"遊離型"が存在することが明らかになり,血中TFを病態マーカーにしたDICなどの凝血疾患の予知・診断が注目されていた.しかしながら,血中TFレベルは微量で,血中TFをアッセイするためにはpgレベルの測定が可能な高感度ELISAが必要であった.さらに,この高感度化によって血中TFが測定できたとしても,それがprocoag-ulant活性のない可溶性型(s-TF)か,あるいは強いprocoagulant活性を示す膜結合性型(m-TF)か,いずれのタイプであるか明らかでない.特に,種々の疾患では血中TFが顕著に増大する症例がみられるが,そのとき,s-TFならびにm-TFを簡便,迅速に測定することができれば,信頼度の高い凝血疾患の診断・予知が可能となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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