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文献詳細

雑誌文献

臨床検査40巻11号

1996年10月発行

文献概要

ミニ情報

好中球エラスターゼと血液凝固

著者: 岡嶋研二1

所属機関: 1熊本大学医学部臨床検査医学教室

ページ範囲:P.134 - P.134

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 好中球エラスターゼ(granulocyte elastase;GE)は,分子量30,000の好中球のアズール好性顆粒に含まれる蛋白分解酵素で,好中球により貪食された異物の分解に重要な役割を担っている.本酵素の基質特異性は低く,in vitroでは,エラスチンやコラーゲンをはじめ,多くの生体構成成分が分解される.血液凝固線溶系に関連する基質としては,アンチトロンビンIII(AT Ⅲ),α2-プラスミンインヒビターおよびPAI-1などが知られている.GEは,in vitroで,凝固の活性化に伴い細胞外へ放出されることが示されており,DICなどの全身の凝固異常においても,その病態形成に関与している可能性がある.
 GEは血管内皮細胞の構築性を傷害することが知られているが,筆者らの解析から,GEは重症感染症に伴うDICで上昇し,特に肺傷害症例で高値であった.これらの事実は,重症感染症に伴うDICで,GEの作用部位は,活性化好中球が集積する肺の血管内皮細胞である可能性を示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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